逮捕されたくて放火……

 日本に蔓延する貧困問題、老人の万引きとか生活保護の問題など、社会に暗い影を落としています。今回報道された事件もその延長線上で起きたものです。犯人の言葉を信じるならば――。


 3月4日(※執筆時)午後4時半頃、千葉県館山市船形の船形山の中腹にある諏訪神社(石井三千美宮司)から出火し、本殿と拝殿計100平方メートルが全焼、山林約1200平方メートルも焼けてしまいました。近くにいた住所不定、無職の大野正勝容疑者(63)が「自分が火を付けた」と認めたため、館山署は非現住建造物等放火容疑の疑いで逮捕したそうです。

 同署によると、大野容疑者は落ち葉や雑誌などを本殿裏に大量に集めてライターで火を付けたのだとか。彼は火を付けた理由を「生活に困り、逮捕されたかった」と語っているそうです。


 放火って罪が重いですよね。民家を狙っていないとは言え、神社にも文化的に貴重なものがあり、火事により失われてしまったのですからその損失額は計り知れません。焼けた山林の被害もかなりのです。これだけの事をしでかしたのですから、きっと犯人の望みは叶う事でしょう。


 生活に困ったとしても、もっと他に生きる術もあったのではいかと思うのが普通ではないかと思います。私はそう感じました。この人に頼れる人はいなかったのでしょう。ただ、宗教施設に火をつけるくらいなら、まずは宗教関係者に助けを求める事も出来た気はします。そうしても何も変わらなかったかも知れませんが、何かが変わった可能性もあります。この神社を燃やすと言う方法を思いつくまでにこの人はどれだけの事を試したと言うのでしょう。

 事件の背景を知らない内に簡単に語ってしまうのは短絡的過ぎるので控えたいです。語られていないだけで悲惨な体験をして来ていたのかも知れませんし。


 自分が苦しいのに何が神様だと言う思いがあったのかも知れません。信仰心のない人なら神社の価値なんてただの文化財くらいの意識ではないかと思います。文化財だって勝手に燃やしていいものではありませんが。


 この事件の背景にあるのは貧困問題です。もしかしたら今後模倣犯も出るかも知れません。こう言う事件の報道を知ると寂しく、胸が苦しくなりますね。先の見えない今の世の中、この人の姿が未来の私達になる可能性だって決してゼロではないのですから……。

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