第731話史のマネージャー鷹司京子(1)

当初、「仮決定」となっていた史のマネージャーは、華蓮から、鷹司京子に決定した。

鷹司京子は、現在24歳。

関西の音楽大学を卒業後、現在は大旦那が会長を務める芸能団体で、主に能や狂言の音楽家の手配や、和楽器と洋楽器のコラボの演奏会などを担当している。

また、華蓮、由紀、史、加奈子、愛華とは、幼馴染。


当初の「仮決定マネージャー、華蓮」は、まず大旦那に相談をかけた。

華蓮

「確かに、史君は音大入学前、すぐに演奏スケジュールが決まっているわけではありませんが、私も文化講座の事務局で、3月から忙しくなります」

大旦那

「そうだなあ、それも万が一あって、ミスをして、史が落ち込むと心配、何しろ落ち込む性格だ」

華蓮

「そこで・・・もし・・・京都の芸能団体で問題がなければ、京子さんはどうでしょう・・・」

大旦那

「ああ・・・京子さんか・・・鷹司の」

「優秀な子だよ、大人しいけれど、仕事のキメが細かい」

「何をやらせても丁寧、評判がいい」

「こっちに来たところで、それほど問題はないよ」

華蓮

「もし差し支えなかったら、京子さんとお話をさせてもらっても、よろしいでしょうか」

大旦那

「うん、わかった、私も言おうかな、人事異動として」

華蓮

「それは、助かります」

大旦那は、華蓮の顔を見た。

「それで、京子さんと、史は性格的には?」

やはり史は、時々落ち込むので、不安があるらしい。


華蓮

「はい、史君は、小さな頃は、由紀ちゃんに叱られると、私か京子ちゃんに逃げ込んだんです」

大旦那

「え?そんなことが?」

華蓮は笑った。

「だから、全く問題ありません、やり込められるのは由紀ちゃんのほうなので」

大旦那は、驚いた。

そして、笑いだしてしまった。


その日の夜、華蓮は京子に連絡。

「京子ちゃん、史君のマネージャーして欲しい、急で悪いけれど」

京子は、フッと笑う。

「大旦那からお電話がありました」

「人事異動としてね、でも、史君のお世話でしょ?」

「可愛かったなあ、史君、新年会で見たけれど」

華蓮

「史君は、ちょっと女難」

京子

「そうだろうね、可愛いもの、動くお人形さんみたい」

華蓮

「史君は、大旦那のお屋敷の洋館に住むの」

「一緒に住んだら?」

京子

「そうね、それでもいいし・・・でもさ、由紀ちゃんが、よく納得したね」

「絶対に、大モメになると思ってた」

華蓮

「晃さんが、上手にまとめたみたい、いざっという時はキチンとまとめる」

京子

「でも、楽しくなりそう、マスターの料理も期待満点」

華蓮

「洋子さんのケーキもすごいよ」


華蓮と京子の会話は、果てしなく続いていく。




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