第732話史のマネージャー鷹司京子(2)
鷹司京子が史のマネージャーになることは、朝9時に華蓮から、史の家に連絡があった。
史は、びっくりしている。
「え?京子さん?マネージャーって・・・華蓮ちゃんだと思っていたけど」
「すぐに演奏会なんてしないから、ゆっくり決めればいいかなって・・・」
「うーん・・・懐かしい・・・安心できる、おまかせかなあ」
史は、結局は安心した様子。
母美智子と父晃も納得。
美智子
「そうよね、華蓮ちゃんは文化講座で忙しいし、京子ちゃんは、しっかりしているしね、それがベストかな」
晃も、史専属のマネージャーが決まり、ホッとした様子。
「一度、食事をしないとねえ、みんなで」
由紀は、珍しく焦っている。
「う・・・京子ちゃん・・・」
「すっごいキチンキチンとしていて・・・筋を通してくる」
「いつも、史の味方ばかり・・・史にはいいけれどなあ」
「また、やり込められるのかなあ」
「史と一緒に住むのかな、あの洋館で」
「ますます泊まりづらくなる・・・大旦那のお屋敷で加奈子ちゃんの部屋に泊まるかなあ・・・意味ないかなあ、それじゃ」
そして思った。
「ますます、史が私から遠くなる・・・」
隣の史の部屋のドアがガタンと開く音がした。
そして、史が階段を降りていく音がする。
由紀は、反射的に自分の部屋を出た。
そして、ドタドタと史を追いかける。
リビングに入ると、母美智子がムッとした顔。
「由紀!もう少し静かに階段を降りて!」
「あなたも、今年は二十歳なの、子供じゃないんだから」
由紀も、それにはムッとした。
「うるさい!史に話があるの」
「史は?どこ?」
ところが、史はいない。
美智子
「史?出かけたよ」
由紀
「どこ?何も聞いていないって!」
美智子
「呆れるねえ・・・何で史の外出で、由紀に話すの?」
「史だって、大学生になるんだよ、いつまでも子供じゃないの」
由紀は、その言葉でシュンとなってしまった。
「なんか・・・ますます、史が遠くなる」
「つまんない・・・あの子がいないと」
美智子は、またしても呆れるけれど、由紀の沈んだ顔も見たくない。
「史はね、カフェ・ルミエールのビルに行くって」
「二階の事務局かもしれないし、店かもしれない、下のホールかもしれない」
「・・・全部かな・・・」
そして、由紀の顔を見た。
「京子ちゃんが来るみたいなの」
由紀は、それを聞いたら、さっそく、追っかけ気分。
いきなり二階の自分の部屋にのぼり、着替え完了。
母美智子に
「私も行く!」
と言い残して、出ていってしまう。
美智子は、またしても呆れた。
「はぁ・・・オジャマ虫かも」
「また、京子ちゃんに、叱られるかも」
「どうして、思いつきだけで行動するのかなあ」
美智子は、頭を抱えている。
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