第470話三年生になった史と里奈のデート(4)

史は里奈の家の前についた。

そしてチャイムを押すと、インタフォンで話をするまでもなく、里奈と里奈の母親裕美が玄関を開けて、顔を出した。


史は、少し驚くけれど

「おはようございます、史です、今日は里奈さんと自由が丘まで行ってきます」

と、キチンと頭を下げる。


里奈は、それで顔が真っ赤。

また、里奈の母、裕美は超ニコニコ。

「まあ、史君、里奈をお願いね、とにかく柔道ばかりやっていてイモ娘だから、自由が丘のおしゃれな雰囲気が似合わないかも知れない」

「ほんと、里奈じゃなくて、私が史君とデートしたいくらい」

そして、少々焦り気味の里奈にはかまわず、史の手を握ってくる。


史は、どう答えていいのかわからないので、ただニコニコするだけの状態。

さて、そんなことを玄関でやっていると、里奈の祖母も出てきた。

そして史に声をかける。

「あらーーー史君、少し大人びたけれど、相変わらずお人形さんみたいねえ、ほんと可愛い」

「今日は里奈をお願いね」


史は、ここでも、ニコニコとしているしかない状態。


それでも、いつまでも玄関先でこんなことをしているわけにはいかない。

里奈が、

「じゃあ、行ってきます」

とキッパリ言い切って、ようやく出発することができたのである。



さて、駅まであるいて、ようやく東横線に乗った二人はホッとした。

「うちもけっこう出るまでに、大騒ぎだった」

里奈

「ほんと、お母さんも、お祖母さんも・・・やかましい」

「そんなものかなあ」

里奈

「いや、やかましすぎ」

「母から言われたのは、和菓子の老舗で大福ってだけ」

すると里奈が「え?」という顔。

「あら、私の祖母も、大福って言ってお小遣いもらった」

史は、少し笑った。

「あの老舗だよね、王監督のナボナで有名なのにね」

里奈も少し笑い

「ところで、実はナボナを食べたことない」

「へえ・・・じゃあ、店で食べられるよ」

と返すと

里奈

「じゃあ、そこで食べるのは決まりだよね、ところでお姉さんにはお土産は?」

史が

「うーん・・・下手に買っていくと、文句を言われるかなあ」

と難しい顔をすると、

里奈

「じゃあ、私に任せて、私お姉さんと連絡するから」

史は

「え?マジ?仲いいの?」

かなりキョトンとしている。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る