第471話三年生になった史と里奈のデート(5)

史と里奈は、自由が丘駅についた。


「駅前は、普通の街って感じなんだけど」

里奈

「それでも、なんとなくキラキラ感があるね」

「それもそうだね」

と、さっと里奈の手を握って歩き出す。

里奈は、史から手を握られたので、この時点で顔が真っ赤。

恥ずかしいと思うけれど、手を離してもらいたくない。


史は、少しずつキョロキョロ。

「それでも、駅から離れると、確かにおしゃれなお店が多いね」

里奈

「うん、かっこいいお花屋さん、パリとかヨーロッパみたいな感じ」

「雑貨の店も面白そう、洋書を扱っている店もあるんだ」

里奈

「ケーキのお店も・・・すっごいなあ・・・可愛い」

「小さな狭い路地でも、きれいに舗装されている」

里奈

「自由が丘のベニスってあるみたい、雑誌で読んだことがあるの」

「じゃあ、そこに行ってみようよ、面白そう」

と、里奈の手を強めに握る。

里奈は、またうれしくなった。

「史君、ありがとう」

とまでは、口にできるけれど、うれしすぎて次の言葉が出ない。


さて、「自由が丘のベニス」は、自由が丘店から徒歩5分のところ。

水の都と呼ばれるイタリアのベニスをイメージして作られた商業施設にある。

その橋と、周囲の石造りの街並みがとても美しく、とても日本国内とは思えない。


史は

「へえ、面白いねえ」

と、またキョロキョロ。

里奈は、「えへへ」と言いながら、そのまま史と自分を「自撮り」している。

史が、そんな里奈にくすっと笑うと里奈は

「だって、史君と一緒の写真って少ないし、絶対ここで一緒に写りたかったの」

と、ますます赤い顔。


史は、また少し笑う。

「そんな、ずっと一緒だよ、ここでだけってないのに」

里奈は、その言葉に身体をビクンとさせる。

でも、うれしすぎて、言葉にならない。

自分でも恥ずかしいと思うほど、顔が真っ赤になっている。


史が、里奈に声をかけた。

「もう少し歩こうよ、何か食べてもいいかな」

里奈は、うれしすぎて声を出すのも必死。

「はい、お任せです」


二人は、腕を組み、またピッタリ身体を寄せて、自由が丘を歩き出した。






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