第469話三年生となった史と里奈のデート(3)
さて、デートの約束の日曜日。
史が、家を出かけようとすると、まず、姉の由紀
「ねえ、どこに行くの?里奈ちゃんとデート?」
史は、その姉がうるさくて仕方がない。
「うん、そうだけど、何か?」
とにかく素っ気ない対応。
由紀は、その史にムッとするけれど、「里奈ちゃんが相手なら心配ない」と思うので、「じゃあ、おみやげぐらいは買ってきてね」と、注文をつける。
そんなやり取りに、母美智子も出てきた。
そして、まず由紀に強烈な一言。
「姉の立場で弟にお土産をねだるの?そんなことを言う前にあなたもデートしてもらえる相手がいないの?」
下を向いてムッとする由紀にはかまわず、次に史に対して
「自由が丘だったよね、老舗の和菓子屋で、大福買ってきて」
と、お金を渡す。
史は、その母に「え?」と言う顔。
「どうして自由が丘って知ってるの?家の人には言ってない」
すると母美智子は、フフンと笑う。
「とっくに里奈ちゃんから聞いています、ほんといい娘さんだねえ」
「すごく感じが良いし、心がこもった話ができる」
と言いながら、今度は由紀に
「あの里奈ちゃんを娘にして、由紀を放り出したいくらい」
由紀は、ますますムッとした顔になるけれど、史は関わらなかった。
「じゃあ、行ってくる」
さっと玄関ドアを開けて、出てしまった。
そして思うことは
「どうして姉貴って、デートのたびに、なんか言ってくるんだろう」
「母さんの言うとおりだ、相手がいつまでたってもできないし」
「きっと、それは姉貴の性格に難があるからに違いない」
「でも、まあ、いいや、他人事さ」
とまで考えて
「でも、里奈ちゃんって、母さんと、いろいろ話していたんだ」
「自由が丘デートも母親公認かあ・・・」
「それで・・・お金は五千円か」
「食事とお菓子のお土産代かなあ」
と、考える。
「でもね、あそこの和菓子店は・・・定番の有名なのは王監督がコマーシャルでやってたお菓子だけど、どうして大福なんだろう」
とまた、考えるけれど、もうすぐに里奈の家が見えてきているし、その方に関心が移ってしまった。
さて、里奈も自分の家の二階の窓から、史が歩いてくるのを発見したらしい。
即座に階段を降りて、母親に
「ねえ、この服と髪の毛チェックして!大丈夫かなあ!」
真っ赤な顔をして、母親にチェックを頼み込んでいる。
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