第402話史と里奈の鎌倉散歩(6)

史と里奈は、明月院に入った。

里奈が

「ここもよく来たよ、紫陽花の時期に」

と話しかけると、史は

「うん、僕も時々来る、でも、土日は大行列で大変」

と、そんな感じで坂道をのぼっていくと、明月院の方丈の前に出る。


里奈

「あの方丈の丸窓が好きなの」

史も

「そうだね、丸窓の奥というか、向こう側の庭には、花菖蒲かな」

里奈

「ねえ、紫陽花の時期にも来ようよ、花菖蒲を見たい」

史も

「うん、来よう」

ここでも、スンナリと話がまとまる。


二人は、その後、明月院の開山堂の前に進む。

史が

「この開山堂の屋根の形とか全体の雰囲気が好き」

と言うと

里奈

「きれいに整っているし、なによりゴテゴテしていない、禅寺だからかなあ」

と、うっとりと開山堂を見ている。


さて、史はしきりに、開山堂の脇に置かれた進入禁止の看板を気にしている。

里奈が

「どうかしたの?」

と聞くと、史は

「うん、山崩れとかの危険があって拝観禁止になっているんだけどね、その奥に小さなお堂があって、すごく綺麗な観音様が立っているの」

と答えると、里奈も思い出した様子。

「あ、知っている、私も拝んだことあるよ、見たいねえ・・・」

史は

「入れなくなって見られないのも、残念だね、お寺で何とか見られるような場所に置いてもらえないかなあ」

と言うけれど、

里奈は

「私もそれを聞いたことがあるけれど、なかなか難しいみたい」

と、里奈も難しい顔になる。


そんな話をしながら、二人は明月院を出て、建長寺に向かうことになった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る