第372話洋子のドキドキと他女子との不穏

さて、史からメールをもらった洋子は、ずっとドキドキしている。

「そうかあ・・・あっちでの生活か・・・」

「細かく教えて欲しいって言われたから、そうなると時間がかかるから」

「二人きりでお食事をしながらだなあ」

「史君もOKだった、これはシメシメ、フムフムだ」

「やっと念願の史君独り占めの念願が叶う」

そして、それを思うたびに、顔が赤らんでしまう。


しかし、そんな浮ついた洋子の状態は、まず奈津美に感づかれることになった。

奈津美

「洋子さん、どうかしたんですか?」

「いつもよりニコニコしているし、顔が赤いですしね」

「鼻歌まで珍しく歌ってますしねえ・・・」


しかし、洋子は、素直に応じるわけがない。

とにかく「二人きりデート、史独占タイム」を気取られてはならない。

それだから

「え?なあに?そんなの気のせいだって!」

と返す。


そんな洋子と奈津美のやり取りを見て、結衣と彩も近寄ってきた。

結衣

「そうねえ、なんか・・・洋子さん、おかしい、頬が赤いんですけど」

「風邪って感じでもないですよねえ・・・何か隠していることないですか?」

口々に、洋子の「異変」を指摘してくる。


ここで洋子は、ごまかすのに必死。

「ねえ、なんでもないって、普通ですって」

「とにかくあなたたちが、心配するようなことでも何でもないんだから」

いろいろ対応するけれど、奈津美、結衣、彩の「不審の目」は簡単には消えない。



さて、そんな視線バチバチの状態が続いていたけれど、ついにそれに変化が生じた。

洋子のスマホに、史から電話がかかってきたのである。


「やっと京都から帰ってきて、荷物の整理が終わりました」

「皆さんにもお土産があるので、伺ってもいいですか?」

どうやら、史がお土産を持って、カフェ・ルミエールに来るらしい。


洋子は、

「はーい!史君!お待ちしています!」

「早く来てね、待ちきれない!」

「何のケーキにする?」

とにかく、「超明るい声」、うれしくて仕方がない状態になってしまった。

まだ、店に来てもいないのに、ケーキの話までしてしまっている。


奈津美、結衣、彩は、ますます不審の目で洋子を見る。

奈津美

「あの洋子さんの対応って・・・何かある。待ちきれないって何?何か約束でもあるの?」

結衣

「史君って洋子さん独占じゃないでしょ?少し言い過ぎ」

「しいて許しているのは里奈ちゃんだけだよ、それを洋子さんのあの態度って何?」


そんな状態で、史を待ち構えるカフェ・ルミエールの女子たちには「一種不穏な雰囲気」が漂っている。


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