第142話コンクールの打ち上げパーティー(3)

さて、合唱部全員と岡村顧問、榊原先生、内田先生が、カフェ・ルミエールに到着した。

ほぼ同時に、母美智子が大きな紙袋を持って、カフェ・ルミエールに入ってきた。

その母の紙袋を、里奈がサッと持つ。


「うん、さすが、里奈ちゃん、動きにキレがある」洋子

「まあ、史君はオットリ系だ、動かず」奈津美

「ねえ、由紀ちゃんも、史君を睨んでいる」結衣

「なんで、あそこまで、史君を怒るのかなあ、かわいそう」彩

そんなつぶやきはあったものの、とにかく全員が揃った・・・と思ったら

マスターも入ってきた。


「さあ!おめでとう!パーティーやりましょう!」

マスターは本当にうれしそうな顔である。


「はい、ありがとうございます」

「応援していただいて、良い成績を収めることができました」

岡村も顧問として、マスターに深くお辞儀をする。


「ああ、いやいや・・・せっかくのパーティーです」

「今までの努力と、素晴らしい結果を喜ぶ」

「それで十分です、私も本当にうれしい」

マスターは、岡村顧問としっかり握手をする。


「さあ、みんな、座って!」

「ケーキと飲み物を配るよ!」

部長の由紀の声掛けで全員が大騒ぎで座席につく。


その後は、洋子特製のマカロンやサヴァラン、シュークリーム・・・様々なクリームを使ったケーキ。

美智子からは、特製チョコレートとフルーツ、ナッツのパウンドケーキが配られる。

史は、奈津美、結衣、彩と協力して、珈琲や紅茶を淹れたり配ったりで大忙しである。


それでも、配り終えれば、史も一応は「喫茶部のお仕事終わり、後は様々インタヴュー」なので、ちょっとカウンター内で一服である。


そんな史に、合唱部の一人が声をかけた。

「ねえ、史君!合唱部とはこれで終わり?」


史は

「うん、合唱部はコンクールまで、後は新聞部に専念」

かなり冷静な答えである。


・・・ただ、そうは簡単に話が進まない。


合唱部のほぼ全員から

「えーーーーー?」

「やだーーーーー!」

「史くーん!残って!」

大騒ぎである。


姉の由紀は、また怒っている。

「史のアホ!どうしてゴマカシができないの!」


母美智子は、さっぱり、女生徒たちの大騒ぎが理解できない。

「何で、史なんかに声がかかるの?」


マスターが一言

「美智子さんも大変だねえ・・・」


そんなことで、史の由紀への取材は、なかなかできそうにない。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る