第132話マスターの歴史好き(1)

ニューグランド出身の名シェフのマスターはこれで歴史好きである。

家の中には、様々な歴史書がゴマンと並んでいる。

さすがに遠い先祖は摂関家、その影響もあるようだ。

そして、時には同じような歴史好きの客に「ウンチクやら何やら」で話し込むこともある。



さて、そんなことで、今夜のカフェ・ルミエールには歴史好きな客が来たらしい。

マスターと何やら、話し込みが始まった。


「それでね、マスター、って知っています?」

歴史好きな客が、そう言ってニヤリと笑う。

マスターもつられて笑ってしまう。

「ああ、ねえ・・・」

「つまり、女の争いですね」


「はい、そうなんです、日本だと古来から、女性というものは控えめでお淑やかでと思うのですが」

歴史好きな客は、マスターに続きを語らせたいようだ。


「えーっと・・・」

「いや、そういうことだけでも、なかったようで」

マスターが、また笑い出すと、アルバイトの美幸も近くに寄ってきた。

「あ、私も聞きたいです、是非・・・」

「それに・・・」

美幸は、マスターにウィンクをする。


「え?」

マスターが驚くと


「ねえ、他のお客様も聞きたいらしいようです」

既に十人ぐらいの客がグラスを持って、カウンターの前に集まってきた。


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