第131話アイスココア

音大を「脱出」した史と里奈が向かうところは、カフェ・ルミエール。

まあ、それが一番安全なのではあるけれど。


「はい、おかえり、どうだった?」

洋子としても、史の表情は気になる。


史の表情は全く冷静、いつもの通りに戻っている。

「あの、見るだけっていったのに、弾かされたり内田先生と連弾したり」

「少し疲れました」

「だから、冷たくて甘いものが飲みたいんです、アイスココアとか」


里奈も

「じゃあ、私も史君と同じです」

「音大の中には入らなかったけれど、心配で疲れました」


洋子は、そんな二人を見てクスッと笑う。

奈津美も出てきた。

「うん、アイスココアね、おそらくそうなると思った」

ということで、本当にすぐに、史と里奈の前にアイスココアを置く。


「史君と里奈ちゃんが、店に入ってきた時点で作ったの」洋子

「史君の大好物だよね」奈津美


「うん、疲れた時は、これが一番」史

「緊張も和らぐよね」里奈

史も里奈も、本当に美味しそうに飲むけれど、洋子は何か話があるようだ。


「それでね、史君」

少し真顔である。


「え?何か?」

史は、よくわからない様子。


「さっきね、榊原先生から連絡があってね」

「内田先生が、すごく史君に興味を持ったらしくてね」

「近々、この店にも来たいらしいって・・・」

洋子は真顔のままである。


「うーん・・・」

史は困惑顔になっている。


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