第101話カフェ・ルミエールの新メニュー(7)

史と美智子が自室に戻ってからも、由紀は晃に粘った。

「ねえ、父さん!知恵貸して」

もう、スリスリ状態である。

晃は、少し困惑。

「父さんに言われてもなあ、父さんは学者だしねえ」

「それでも、由紀がそこまで言うのなら」

晃は、これで由紀のスリスリに弱い。

由紀の顔もパッと輝いた。

晃の表情に「希望」を感じたのである。


「じゃあ、父さんがお風呂から出たら、部屋においで」

「何か、探してみよう」

晃は、由紀の頭をやさしく撫でる。

これも、由紀の子供の頃から、何も変わらない。


「わーい!やった!」

その由紀の反応も、子供の頃と同じ。

素直に、晃の風呂から出るのを待つのである。


晃が風呂から出て、少しして由紀を呼び出す。

「さて、和風洋菓子とか洋風和菓子だよね」

晃の部屋にウキウキと入った由紀の目の前には、PCからプリントアウトしたのか、様々なお菓子の写真がズラリ。


「ザラメと醤油を練り込んだバウムクーヘン」

「奈良春鹿の純米酒を練り込んだバウムクーヘン」

「静岡だったかな、カスタードクリームをスポンジにいれて富士山の形をしたお菓子もあるよ」

「うさぎ饅頭の餡が、苺クリームとかね、いろいろアレンジできるかな」

「小倉餡とチョコレートを練った虎屋風の焼菓子もあるね」

・・・・

とにかく、面白い。


二人の検討会は、深夜まで続いた。

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