第102話新作研究会(1)

とうとう、カフェ・ルミエールの新作研究会の当日になった。

午後6時から、史の家の広いッチンには、美智子、洋子、木村親方、奈津美、由紀、晃まで動いて、いろいろと作っている。


ただ、史と里奈は「判定役」のため、リビングで紅茶を飲んで話をしているだけの状態。


「それでも、すごいねえ、これだけの人が動いても、狭さを感じない」

里奈は、目を丸くしている。

「時々、父さんの学会の人も来るから、キッチンもリビングも広く作ったんだって」

「でも、掃除が面倒、姉貴がやると、いい加減だし」

史がブツクサ言うと、「そういうことだけ」は、由紀に聞こえるらしい。

「うるさい!史のアホ!」

即座に「お怒り」の言葉が返ってくる。

「まあまあ、お客さんがいるんだから」晃

「由紀、それは事実だよ、でも、せっかく史の可愛い里奈ちゃんがいるんだから静かになさい、私も里奈ちゃん大好きなの」美智子

そんな声まで聞こえてくる。



それでも、新作菓子は、それぞれ完成に向かいつつあるようだ。


ます、由紀&晃はパウンドケーキとチーズケーキ

「チョコレートと餡を練り込んで焼いたもの、シナモン風味入りのパウンドケーキ」

「柚子クリームを練り込んだチーズケーキ」


木村親方と奈津美の師弟コンビはお饅頭と最中

「アイリッシュ・ウィスキーを練り込んだコーヒークリーム饅頭」

「最中の中身がフルーツ入りの生クリーム、皮には、ほのかに日本酒の香り」


そして、美智子と洋子の新作は・・・

新作を見た史の目が点になっている。

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