jealousy of red
お風呂のドアが開いた。気配に気づいたの?確認しようとしたの?眼鏡があるかどうか。
私はそのまま、しゃがみこんだまま言ってしまった。
「疲れたよ、考えるの疲れたよ・・もうイヤだ。カラカラ鳴ってるし、もう考えられないよ。想像できないよ。」
あなたはバスルームから出てきて、バスタオルを巻いたみたい。理由わからないって感じの少しの沈黙。
「・・なんで、こんなのあるの?赤なんて。・・なんで長い髪があるの?・・・なんで枕の下にUピンがあるの?リムーバー、どこいったの?」
ずっと我慢してたのに。平和な日常、まだまだずっと続いてほしかったから、我慢してたのに。堰を切ったみたいに言葉が溢れる。
あなたはちょっとキョロキョロしてる。眼鏡をかけてない見えない目で。
『それは、俺の・・』
多分、私の左手のヘアクリップに気づいたんだね。何、あせってるの?
私の手から赤いヘアクリップを取ると、自分の髪につけた。
『前髪伸びたから、コンタクト外したり、顔洗う時に使う。赤ならわかるから。コンタクト外しても、洗面台のどこにあるか、わかりやすいから。』
前髪を赤いヘアクリップで留めて、私の前にしゃがんでクリップを留めた自分を見させる。
「・・じゃあ、髪の毛は?リムーバーは?・・Uピンは?」
平和な日常が壊れる音がする。カラカラ。
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