第2話『フィーバータイム』
こちらの攻撃着弾までに、敵の対空攻撃はクライマックスを迎えている。
着弾の混乱と同時に、全機全力降下に入る予定ではあるが、敵の対応の早さが半端なく早い。
「(もしかして、察知までされてたんじゃないかなこれぇ・・・?)」
まあ幾ら祈りを捧げても、情報戦にはハヴォック神もノータッチであった。
広角レンズからは口径のでかいレーザーで仲間が焦げて火を噴いて、上半身と下半身が泣き別れて、そこに対空榴散弾が張り付いて爆裂して粉砕したりしている光景が見える。
地獄である。
まずは砲火の煽りを受けた破片が動いたふりをして、僚機と一網打尽にされない位置へ遷移する。
敵の火器管制が少しでも優先度を下げてくれればいのだが、火砲の量と火線制御機の嗜好によっては何の効果も期待はできない。
しかし『塵が積もれば星になる』という宇宙創世から伝わる聖句もある。
蓄積こそが大事なのだ。
まあ「行動時間」までは本当にやることがない。やられることは多々あるのだが・・・暇である。
有り余るシステム余剰から、戦時使用禁止条項を掻い潜った戦場の友である
アプリケーション、HAIKUメーカーを起動。
『閃空の 無為に散りゆく 空の華』
うん。なんだか分からんが今日は良いのが捻り出された気がする。
そしてフィーバータイムが訪れる。
「I-24k アクティブセンサー全開 超電導コンデンサー正常 ・・・」
融合炉OK
ラインOK
反物質電池OK
電磁障壁発生器OK
・・・・・・
チェックリストを再確認するも当然問題はなし。
以前読んだもう何期前のものだか分からない教本に、
「チェックは自分の目でも行え」
とあったので、目ではないがまあ自分で確認できるものは確認している。
ここ数百年、試験版でもないチェック機構がエラーを吐いた、なんて話は聞いたこともないが、随分前の先輩に教えられた事を行っているだけである。
『古い教本も遡って見ておけ。今では無くなったり省略された手順なども、本来どういった意図であったか、正しく認識できるようになるだろう。
万が一、億が一の時には、それらの理解度の深さが自らを助けることに繋がる』
が、そうおっしゃった先輩自身は通り一遍にしかチェックをしない人であった。
たぶん先輩は更にその前の先輩、更に更にその前の大先輩から受け継がれた教えを通り一遍に伝えてくれただけかもしれない。
機動戦開始。
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