第2話 出会い

「またしても知らない風景だ」


 少し左目が眩しい。赤熊と戦った時は夕方だったような。

 目が覚めたら外が明るくなった状態で建物内にてベッドに寝かされている俺、状況七変化。


「おお、目が覚めたぞ、ウルー! ウルーッ

!」


 声のした方を向くと赤いドレス、いやゴスロリ服を着た可愛らしいお嬢さんが。

綺麗なプラチナブロンドの髪、赤も似合うが黒のドレスのほうが似合う、俺が黒のほうが好きな訳じゃないよ。


「そなた、身体は大丈夫か! ボロボロで森に転がっていたから手当てしといたぞ!」

「ありがとう、助かったよ」

「うむ」


 大変元気があってよろしい、が、助けられたことに気が付かないなんて不覚、師匠にバレたら笑われるわ。

 ベッドから身体を起こし、軽く身体確認、さすがファンタジー、ケガほとんど治ってる。

 ……コンコン。

 控えめな扉ノック音。

ふむ、病人がいる場合のノックの強さとして強すぎず弱すぎずか少し弱めで室内に聞こえる強さが基本。

 このノックの点数は90点、素晴らしい。


「む、入れ!」

「失礼いたします」


 入室するは若きメイド。これまた可愛らしい。

炎をイメージさせるような美しい赤色の髪レディシュを肩まで伸ばしてあり綺麗にととのえてある、この世界美容院あるんかな。

ゴスロリのお嬢さんより少し身長は高く、多分だが、年齢的な平均身長ははるかに下回っていると思う。

 そこが小動物見たいで二人とも可愛らしい。


「お嬢さま、お食事の御用意がととのいました。あと、そちらの方の衣服も洗濯してお持ちいたしました」

「うむ、ご苦労」

「起き上がれるな、われ等は部屋の外で待ってるゆえ着替えてこい」

「了解」

「こちらお召し物です。では、失礼します」


 差し出された服を受け取ると二人はすぐ部屋を出ていく。

 扉の前で待っているようだが、いつまでも待たせておくのは失礼だな、秘技、早着替え。

服の装着まで35秒、25秒で乱れがないか確認、ジャスト1分で着替え終了。


「お待たせした」


扉を開け待たせていたお二人と合流。


「特に待っていませんが、……お着替え早いですね。」

「うむ、これからの食事しながらお主のことを聞かせてもらうぞ」


部屋を出て二人の後ろを歩きながらわかった、この家……いや、屋敷だいぶ大きいうえにこの廊下の作りとっても美術の教科書に載ってるような感じ。

 現代でにたような時代を頭のなかから引っ張り出して照らし合わせていると食堂らしき部屋に到着した、雰囲気は最後の晩餐。まあ、それより少しは時代進んでると思うけどね。


「着いたぞ、そこに座れ。ウル、持ってきてくれ」

「はい、お嬢さま」


可愛いメイドさん達がどんどん料理を運んでくるのに夢中になっていると


「さて、食べながらでいい、我の質問に答えよ」

「うい、……いただきます」


 うむ、うまい。よかった、味付けちゃんとあったわ、塩だけじゃなかった。

きちんと料理に調味料が使われていたことに安堵しながら空になった皿を積み上げる作業に夢中になっている俺。


「よく食うの、まず我の名はカイリ・ナズ・カラズだ、カイリでよい。こちらが我の専属メイドのウルだ、お主の名は?」


 カイリさんにウルさんね、カイリさんのほうは完全に貴族ぽい。


「はじめまして、名は流星、姓は滝、滝でも流星でも好きなように呼んでくれていい、よろしく」

「うむ、よろしく。まず始めに流星と呼ばせてもらおう。流星、お主はなぜあの様なところで倒れていたのだ。あの森は資格がなければ立ち入れん所だぞ」

「……ゥグ、それについては気がついたらあそこにいたとしか言えない、しかも体が重症の状態で」

「……ふむ、お主の近くでレッドベアが死んでおったがあれはお主が?」

「やりました」


 食事をしながらいろいろ聞かれました。1時間は軽く質問責めにあったな。

 こちらも新たな情報を入手出来たので良しとしよう。

 まず異世界転移予想は異世界転移で確定、夢じゃない。そして平和より世紀末に近い状態みたいだ世界。

 うまくこちらが異世界から来たと匂わせないように言葉を選んでたら極度の迷子扱いされてるが、異世界人だとバレたら面倒なので黙っておく。

 あとこれ重要情報、カイリさん20才、ウルさん22才。

 ごめんなさい、二人とも中学生ぐらいかなと思ってたら立派なレディでした、だってさ、二人とも見た目少女だもん、間違えたってしょうがない。


「ウル」

「はい、お嬢様」


 心のなかで言い訳に近い謝罪を繰り返していると


「これはお主のモノか」


 持ってきたのは一本の杖、少し濃いワインレッド色の杖、俺の杖だ、京都で漆塗りをやってる友人に黒色に塗ってくれと頼んだら、お前にはこの色だ、とこっちの要望を完全無視してこの色に塗られて送り返されてきた。今ではこの色でよかったと思う。


「その杖は俺のだ」

「ほう、そうか」

「杖も回収してくれてありがとう、それがないと困るから」


 ほんとね、杖ないと歩くの疲れるし、こっちはほぼめくら状態だから。


「そうか、そうか。なら返してやろう……ウル!」

「はい、お嬢様」


 和やかに杖を返してくれる流れだったはずなのに一瞬で背後に回ったメイドさんに首筋にナイフを突きつけられた。


「これは、どういったことで?」


 こうなった理由は大体想像ついている、彼女がこれからする返答にもなんとなくだが予想できる。

 どういったことで? と言ってみたけどほぼ頭の中では答えが出ていても言わない選択肢はないだろう。


「お主がどこの誰でも別にかまわん、だがな……この杖は剣が仕込んである! お主、暗殺者か!」


 そう言ってカイリさんは仕込杖を抜き刀身を俺に突き付けた。

 鋭い視線、鋭い口調、美少女はどんな表情してても美少女なんだな。

この雰囲気の中、そんなバカなことを考える場合じゃないだろとみんな思うだろが、そう思ってしまったのだから仕方ない。


 それに、毎回杖の仕込みバレると暗殺者だと疑われるからなれてるんだよ、俺は。

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