第25話 校内戦②
俺達の初戦の相手は『フリージングアイス』iクラスのチームで、最初の相手としてはいいところだろう。
ここに勝てないようでは水無 雪乃率いるCクラスの『FAIRYKNIGHTS』に、またしても負けてしまうだろう。
「まずは初戦、勝ちにいこう!」
「当たり前でしょ!」
「勝っつぞぉ〜!」
全員気合は十分だ。それなりの特訓はしてきたし、そんじょそこらのチームには負ける気がしない。
「では、iクラスチーム『フリージングアイス』対、Jクラスチーム『
審判役のドローンから声が聞こえた。
「美しい花......ねぇ?」
「べ、別にいいだろ! 俺達は6人揃って大きな力を発揮するんだから!」
「まぁ、一樹らしくていいんじゃないかな?」
俺らしい......つまり俺はロマンチストってことか?
俺が勝手に決めた俺達のチーム名『BeautifulFlower』には、メンバーを6枚の花びらとして、綺麗な花を咲かすという意味が込められている。
これを皆に話したら、広人はもっとかっこいい名前がいいと言っていたが、元々決めていなかった事が悪いということでこの名前に決定した。そもそも変更は出来ないのだから、そのまま使うしかないわけで......
「ほら、皆さん集中してください始まりますよ」
ドローンからの掛け声が聞こえる。
「3......2......1......試合開始!」
試合開始とともに俺達は動けるようになった。
まずは相手の出方を伺うか......
「相手がどんな武器を使ってくるか分からないから、広人のスコープで偵察しよう」
「もうしてるぞ......見えるのは1機だけだな。あれは
広人は
「周りに誰もいないのならば、これはチャンスね。恐らく広がって囲むような戦術を使うのね」
奈々美さんは桃咲と春奈を連れて、広人から送られてきた座標へと一直線に向かってゆく。
俺にはある疑問があった。
そこまで俺たちに有利になるものだろうか。これじゃあまるで......!
「奈々美さん、桃咲、春奈、すぐに隠れろ!」
「一樹くん? 何を......」
奈々美さんのがそこまで言いかけたその時......
流星のような弾丸の雨が3人に降り注いだ。
この戦い方は、まるで......
「......水無さん達と同じ様な戦術だ! 全員隠れろ!」
学習能力がないのか俺は......! 昨日の今日で同じ戦術にはまってしまうとは......
幸い3人の名前の表示は変わっていないので、無事なようだ。
土煙の隙間から3人の様子が見えたが、どうやら春奈と桃咲が咄嗟に奈々美さんを守る形で銃撃を耐えていた。
守りの硬い2人は上手く守れば激しい銃撃でも少しの間なら耐えられるだろうが、完全に攻撃職の奈々美さんがくらえばひとたまりもないだろう。そして攻撃の要の奈々美さんが倒されれば、俺達の攻撃力はガクッと下がる。
「広人、クラス長、銃を撃ってる場所の特定を......!」
「現在地から東に500mの建物の影に2人、南東に700m地点のビルに2人、北東に600mのショッピングモールの中に1人です」
今日は驚かされてばかりだ。全員がその時に出来うる最善の行動を取っている。俺は仲間の事を疑い過ぎていた......皆俺よりも強くて、お互いの事を理解していて、これなら個々の力が一番発揮出来るだろう。
徐々に前進して行った3人があっという間にナイトを倒し、広人は持ち前のスナイピングテクニックでショッピングモールの中の敵を倒す。桃咲と春奈が分かれて敵の攻撃を受けきり、俺を含めた近距離、中距離の攻撃職で残りを一気に叩く。
それは誰かが指示したわけでもなく、声をかけ合いお互いの事を考えて行動する。それが『基本連携』だ。
「うぅ......初、勝、利!」
「まだ1回戦だぞ広人?」
「口元が緩んでるわよ一樹くん」
水無さん達との親善試合が俺達6人の初陣だったので、実は初勝利なのだ。嬉しくないわけがない......!
「他の試合も見ておきましょうか」
試合と試合の間が20分あり、僅か10分足らずで勝った俺達には40分もの休憩時間がある。
その時間を利用して、俺達は他のチームのライブ映像を見に来た。
「なんだよこれ......」
その試合はAクラス『
それを試合と呼べるのかどうか、『HELLHOUND』の6人のうち戦っているのはたった1人。対して『FAIRYKNIGHTS』は6人で戦っているが、押されているのは水無さん達だ。
俺達の見ている前で、俺達を圧倒した『FAIRYKNIGHTS』は惨敗した。
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