第24話 校内戦①
楽しかった祭りは閃光のようにあっという間に過ぎ去り、今日は......
「校内戦......!」
合宿前半の締めくくり、そしてどれだけ成長出来たかを競う場。それに校内戦で優勝すれば、学校内最底辺を覆せるはずだ。俺達はJクラスのチームとして勝たなければならないし、勝ちたい。
「校内戦に出るためにはチーム登録が必要......だそうです」
クラス長は今日の朝新しく配られたプリントを見ている。俺もさらっとは目を通した。
1、校内戦に参加するには各自でチーム登録を行う必要があります。チーム登録は基地内事務室にて行っているので、チームの代表者2名で手続きをして下さい。当日朝9時までは受け付けています。
2、校内戦のルールについてですが、1チーム6までとしてトーナメント形式で行います。武器は基本何を使っても可とします。試合はすべてバーチャル訓練機を使用し、片方のチームがもう片方のチームを殲滅する、もしくは30分経って残機の多い方が勝利です。
3、トーナメント上位3チームには豪華賞品も用意されています。さらに、1位のチームは特別に現役の軍の戦闘機兵隊のチームとのエクストラマッチも行います。
4、ルールを守り、楽しい校内戦にしましょう。
プリントにはそう記してあった。
「......これもっと前に配られなきゃいけないやつなんじゃないのか?」
「和泉先生が配り忘れてましたって、Fクラスの部屋を走り回ってた気がする......」
あまり厳しくないのはいいが、ふわふわし過ぎて危うく出場出来ないところだった。副担をつけた方がいいと思うのだが。
「まぁ朝9時ならあと1時間もあるから間に合いそうだな」
「ん......ごめんその時計止まってるぞ?」
止まってる......?
「実際の時間は......」
俺は手首につけた時計を見た。昔ながらのアナログ時計で、時間に実感が湧きやすい。だからこそ......
「あと10分もないじゃないか!」
時間ギリギリなのもすぐに分かるわけで。
リーダーとしてクラス長と、じゃんけんで負けた俺が2人で登録しに行くことになった。残り時間が少ないため、基地までは走って行った。
「はぁ......はぁ......! チーム登録したいんですけどっ......!」
「ふふふ、危なかったですね。こちらの紙に必要事項を書いてください」
事務室の中の時計を見ると、9時28分を指していた。
危ない危ない。
俺は言われた通りに紙に必要事項を書き始めた。メンバー全員のクラス番号名前......そしてチーム名。
「はぁ、はぁ、チーム名決めたんですか?」
「あぁ、うちのチームはこれがピッタリだろ?」
「はは、確かにそうですね。うん、いい名前です」
俺が必須項目をすべて書き終わり、受付の人に渡すと、パソコンで何かを打った後、小さな紙切れを差し出しきた。
「これは......?」
「この後10時を目安にトーナメントの組み合わせが出るので、その時のあなた達のチームのチーム番号です。チーム名でのトーナメント表は12時に更新されますよ」
いよいよ始まる......!
俺の心臓の鼓動は嬉しさと緊張で速くなっていた。
クラス長を連れて合宿所の部屋へと戻り6人揃ってそわそわしていると、とても長く感じたが10時を迎えた。
「きた......! 68は......」
「あった! これじゃないかしら?」
Cブロックトーナメント表全体の右上にあたるブロックの、真ん中ら辺。これがいいのか悪いのか分からず、チーム名も表示されていないトーナメント表を眺めていると、少し可笑しくなった。
「相手の名前もわからないんじゃあんまり意味無いじゃんこれ......!」
広人、それを言ってしまったか......!
全員が肩を震わせて笑いをこらえていた。
「さて、本番は12時からだから、しっかりやらないとね!」
春奈が皆の気合いを煽る。
緊張感のある2時間は地獄のように長かった。ページをめくるスピードがやけに早いクラス長、テレビを見ながら座る体制をしきりに変えている春奈、一眠りしようとするが中々寝れず寝返りを何度も打っている広人、ソファに座りテレビを見るわけでもなく空のティーカップを飲もうとする奈々美さん、テーブルの椅子に浅く座りいつもに増しておろおろとしている桃咲。そして皆を順番に何度も見ている俺。やはり皆緊張しているようだった。
だが、全員共通して目は闘士に満ちていた。
『さぁ......! 皆さんお待ちかね、校内戦開幕だよ! 全員準備は良いかな? 行くよぉ〜......』
「「「戦闘機兵『訓練機』起動!!」」」
放送の声に合わせて各チーム一斉にログインした。
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