第3話 疑問 ぎもん
そして、今に至っている――――。
「…………」
しかし、少女の言っていた『ある条件』が何なのか……私は、『
ただ私が最初に見た店内に置いてある状態では、ただの『透明な球体』だった。しかし、少女から『
そもそも私が手に取る前に、その事を言おうとしていたくらいだ。
つまり、少女は「誰かが手に取った時点で水が出る」と理解していた……事になる。
いや、店員だからそれぐらい知っていても当然だろう。むしろ店員が、商品について知らない……という事も、それはそれで大問題だ。
「うーん」
しかし、今一度よく見ると、さっきお店で見た時より水の量は減っているように感じる。
つまりこの水は、いったん増えたら増えっぱなしという訳ではなく、
それにしても、あの少女は……どう見てお店の雰囲気……合っていない様に感じた。かなりお節介な話かもしれないが、私は『物静かな
でも、店内に売っているモノが『雑貨類』で、売っている場所が洋風な『雑貨店』であればここまで違和感を持つことはなかったはずだ。
それは、彼女の『見た目』が問題なのではなく……多分、『雰囲気』が問題だったのだろう。
「…………」
しかし、ここまで赤の他人に対して考え込むようになったのって、一体いつからなのだろう……。
正直、あの少女のことを考えても今更何も意味はない。ただ、水の増減する『条件』を聞き忘れたのは、我ながら失敗だったなと……ちょっと後悔していたくらいだ。
でも昔は、そこまで細かいことをいちいち考えることはなかったはずだ。それがここ最近はちょっとしたことでも考える事が多くなったように感じる。
人によっては「考え過ぎ!」って言うかもしれない。でも私は、そんな事はないと思っている。
確かに小さい頃は、目に入るモノ全てが新鮮で色々大人に聞いしまう。私もそうだった。
しかし、昔は周りを見ることで精いっぱいで気づけなかったことも、大人になった今は気づけ様になったと思う。
だから、私は自分の「視野が広くなった」とポジティブに
私はゆっくりと手の中で『水玉』を転がしながら、ふとそんな風に思った。
「はぁ……」
しかし、それ以上にこの日、私はとても疲れていた。もちろん、いつもより帰るのが遅かったのもあった。
だが、それ以上にこの日の私は、実は会社でミスをした後輩のフォローに必死だった。だからなのだろう、水は、半分くらいになっていた。
私が勤めている会社では最近の新入社員を『
しかし、それは決して褒め言葉ではない。もし褒め言葉だったら、そんな皮肉っぽく言わないはずだ。
今の世の中は、色々と変わってきている。法律の成立とか改正により、女性の社会進出もしやすくなっている。
そんな今のご時世『
私は変わることは決して、悪いことではない。しかしだからと言って、周りの人が適応出来るかどうかは……また別の話だ。
そして残念ながら、私の勤めている会社では、あまり新しいことに適応するのは、
私はそんな会社の古風な考え方のおかげ様で、毎日毎日疲れていた。
しかし時代の流れによって、変わることも大切だ。でも、時代の流れに逆らって、変わらない……いや、変えられないモノも、確かに存在する。
でも、そういうの事やモノに限ってその時は、分からない。変えなくてよかった。そう分かるのは多分、もっと先になってからである。
「…………」
まぁ結局、水の
つまり、何が言いたいのかというと……。そんな毎日疲れる日々を過ごしていれば、『水玉』の水は、減ることはない。いや、むしろ日に日に水の量は、増えていくはずだ。
まぁ結局、そんな私の
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