第15話 雪山に散る!
ミエチスラフ・カルウォ(ロ)ヴィチ作曲
「ヴァイオリン協奏曲」さんからのお手紙
日本の皆様、こんにちは。
日本の皆様には、いつも親しみを感じております。
といいますのも、わが祖国ポーランドの英雄、ショパンさんを、いつもとても好きでいてくださるからです。
カルウォヴィチ先生は1876年生まれの、ポーランドの作曲家です。もし、長生きしていたら、ポーランドだけでなく、ヨーロッパを代表する作曲家にもなれたでしょう。
でも、先生は登山家でもあり、1909年にタトラ山脈でのスキー中に、雪崩に襲われて、亡くなってしまいました。
ぼくは、1902年に、先生によって作られました。
ぼくについては、このところ日本でも少しずつ知られてきているようにも聞いています。
とてもうれしいです。
ぼくは、作られた年代から考えてみても、かなりロマンチックで、とても親しみやすい音楽です。
美しいメロディーと、夢と希望で一杯です。
第一楽章の第二主題を、聞いてみてください。溢れる新鮮な希望、理想、夢、幸福!
前に登場していたシューマン先生とは違って、これから生きてゆくぞ!という、夢と希望のロマンに満ち溢れています。まさかその数年後に、亡くなってしまうなんて、まったく予想もできません。
第二楽章もそうです。このあまりの美しい音楽はどうでしょう。
でもこれは、やはり死の花園ではありません。まさに、この世に生きる、現実の、これから成し遂げようとする、理想の花園です。第3楽章は、これでもか、と言わんばかりに、美しくも楽しい旋律が次々に登場してきます。モーツアルトさんもびっくり!くらいに、自然に湧き上がってくる力です。天才です。三つ目に出てくるちょっとブルースっぽいメロディーは、日本の皆様には、ある有名な歌謡曲の〆のメロディ-に聞こえるのではないでしょうか?
え? それなにって?
それはどうか、聞いてみてお確かめください。
え、だれか、ほかの方のことを書けって?
そうですね、ポーランドの「ヴァイオリン協奏曲」といえば、まずはヴィエニアフスキさんでしょうか。1835年生まれの、ポーランドの大ヴァイオリニストで作曲家さん。たしか、「ヴァイオリンのショパン」なんて書いていたものもあったような気もします。二曲のヴァイオリン協奏曲が有名です。それから、なんといっても、シマノフスキさんでしょう。1882年生まれの天才です。この方にも、二曲のヴァイオリン協奏曲があります。ただ、この方はあまり大衆受けする音楽のタイプではないのです。しかし、じっくりと聞いてみるには最高の音楽です。噛めば噛むほど味が出てくる作曲家です。
ポーランドの音楽というと、どうしてもショパンさんと相場が決まってしまいますが、どうぞ、ぼくたちも聞いてくださいね。
お願いいたします。
では、音楽でお会いしましょう!
そうそう、ポーランドは長い間、祖国が消滅していました。日本の国民の皆様も、かつて大変な苦労をなさいました。どうか、世界が再び戦禍に包まれることがないように、心から祈っております。
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(参考)
初めに二つ名演奏をご紹介しますが、CDが少し入手しにくいかもしれません。
1 カルオヴィチ作曲「ヴァイオリン協奏曲イ長調作品8」
シマノフスキ作曲「ヴァイオリン協奏曲第一番作品35」
ヴァイオリン:ワンダ・ヴュウコミルスカ
指 揮 :ヴィトルト・ロヴィツキ
管 弦 楽 :ワルシャワ国立フィルハーモニック交響楽団
ポーランドMUZA(PNCD 142)
2 カルオ(ロ)ヴィチ作曲「ヴァイオリン協奏曲イ長調作品8」
「交響曲ホ短調作品7」
ヴァイオリン:コンスタンティン・クルカ
指 揮 :ヴィトルト・ロヴィツキ
管 弦 楽 :ワルシャワ・フィルハーモニック管弦楽団
そのほか
(英)オリンピア(OCD304)
・・・・第一話のクニッペルさんのCDを出していたレーベル
【割と最近のCD】
3 カルオヴィチ作曲「ヴァイオリン協奏曲イ長調作品8」
シマノフスキ作曲「ヴァイオリン協奏曲第一番作品35」
ヴァイオリン:ピョートル・プラウナー(発音違うかも?)
指 揮 :チェスラウ・グラヴォフスキ(同上)
管 弦 楽 :Orkiestra Symfoniczna Filharmonii Zelnogorskiej
(すみません、読み方がわからなくて・・・)
ポーランドDUX(DUX0540)
4 カルオヴィチ作曲「セレナーデ作品2」
「ヴァイオリン協奏曲イ長調作品8」
ヴァイオリン:イリヤ・カーラー
指 揮 :アントニ・ヴィト
管 弦 楽 :ワルシャワ・フィルハーモニー
NAXOS(8.572274)
(追加)
「山に散った」と言えば、ヴァイオリニストでは、あの天才、ジネット・ヌヴーさん。そうしてその大先輩ジャック・ティボーさん。どちらも飛行機が(同じ航空会社)墜落して亡くなりました。また、日本のフルーティストで、アルプスで遭難した加藤恕彦さん、が思い浮かびます。
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