第2話 人間万事塞翁が馬とはよく言ったものだよね

俺は神奈川県の理系大学に通う大学2年生なのだが友達と大学の食堂で昼食をとっていたところ急遽届いた曽祖父の訃報を知り実家である長野県に家が近所である幼なじみの葉月千春と共に曽祖父のお葬式に参加していた。


今は火葬も無事に終え葬式の参加者一同が集まり昼食会の真っ最中である。

曽祖父は108歳での大往生であり周りはあまり悲嘆に暮れる様子というよりは笑顔の方が多い。

この笑顔というのも死んだのを喜ぶ笑顔とかではなくなんとなくだが曽祖父の最後には笑顔で送ろうとの意志が感じ取れる笑顔であり曽祖父はやはり凄い人だったんだなとしみじみ思う。

各いう俺も曽祖父は大好きであった

子供の頃からよく遊んでもらったりしていたな〜と思い出を思い出してると隣で未だに涙目の千春が話しかけてくる

周りには笑顔が多いのだがこいつだけはずっと涙目である


「健さんとやく遊んでもらったよねグスッ」


どうやらこいつも思い出に浸っていたらしい

ちなみに今日このフレーズを千春から聞くのは6回目である


「そうだな、俺もあんな人になれたらと思うよ」

「だね...」


等と千春と話ていると祖母が俺の所に来て話しかけてきた


「悠ちょっといい?」

「ん?別にいいけど」


千春と別れ祖母と共に廊下にでる

すると祖母が


「あのね健さんの遺書でね悠に遺産があるのよ」

「遺産?なんで?」


俺に遺産があるとも思わず少しびっくりした


「蔵にあるもの何でも一つ悠に相続するらしいわ」

「まじ?」

「まじよ、あんた大切にしなさいよ〜あそこにあるの凄いものばかりだからね」


曽祖父の蔵というと俺的に宝物庫なイメージながあったし実際そのようなものである

曽祖父の趣味でいろいろなものが蔵にはある

数千万円はくだらないものが沢山あるが中にはお金には変えられない品もごろごろとある

そのため何でも一つくれるということにかなり驚く

曾孫への遺産としては破格であろう



「え、俺が貰ってもいいの?」

「健さん悠のこと大好きだったからね...貰ってあげて」

「...わかった」

「今から見てきたら?」


俺は頷き祖母から蔵の鍵をもらい曽祖父の蔵に1人で向かうことにした

曽祖父の蔵に入るとやはり目の前の宝物といっても差し支えないような物に改めて凄いなと思う

中にはこれここにあってもいいのか?と思わず苦笑いしてしまうような品もあった


そんなきらびやかな品々の中に一つの本棚を見つけた

実際には本棚のなかに収められている一冊の本である

この本というのも俺が幼い頃よく曽祖父が俺に読んで聞かせて貰っていた本である

それなりに分厚い本でありこれを子供に読み聞かせていたのかと思うと曽祖父は少しばかりズレた人だったなと改めて思い少しクスリと笑ってしまった

そしてその本を本棚から手にとろうとした瞬間なにかに背中を押されたような気がして思わず本棚に体重をかけた

するとその曽祖父から小さいころから読み聞かせて貰った本が本棚に沈みガコッと小さな音がする

その直後である本棚がいきなり床にゴゴゴゴッと沈みだし俺は呆気にとられてしまった


「隠し部屋とかカッコつけすぎだよじいちゃん」


と思わず呟くがその先に何があるのか想像もつかずにワクワクしてしまう

隠し部屋とか男のロマンだよね


隠し部屋に入って見るとさらに驚く

一面にはなんと無数の武器であった

古そうな銃であったり豪華な西洋風な剣や槍など素人目に見ても名品と呼ばれるであろう様々な武器がある中俺は1振りの日本刀に目がいった

特にこれといった特徴のない黒を基調とした日本刀である

そして俺はふと日本刀を手にする


これが人の命を奪うものとわかっているため若干怖くも思い手に力が入る

そして俺は好奇心から恐る恐る抜刀した

その瞬間である音もなく刀身から蒼白い炎があがる

俺は驚きそして焦ったが思考は既にどうこの炎を消すかを思案している

熱くはないのだが見た感じが炎なので俺はこれを炎として扱うことにした

鞘に収めれば無酸素になり消えるかもしれないが鞘が燃えるかもしれないとの恐れからこれを却下する

そこで俺がとった行動が刀を振って火を消すといった行動であった

しかしこれが大きな間違いであった

刀を降ったその瞬間目の前に黒い裂け目がうまれる

そしておれは重力に従うようにその裂け目へと落ちていった

抵抗する余地も無かった


その後の事はあまり覚えていないのだが真っ暗な場所にいたと思う

そして何かに引っ張られる感覚がし気づいたら異世界の上空であった

俺は叫びながら落下した

そして下に木があり木の葉っぱがクッションになり助かったが、死んでもおかしくはなかっただろう

しかしいくら木の葉っぱがクッションになったといってもその衝撃は凄まじく地面に叩きつけられた俺は意識を手放したのだった

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