unfair

 幸せになりたいだけなのになあ、と多分一年前も言っていた。

「よっこら、せ。」切れた電球を一人で取り換えて。

「味付け薄いな。(まあ自分しか食べないし。)」一人で食べきれるご飯を作る。


 いつのまにか切れた電球を換えてくれる人よりも、ご飯を食べてくれる人よりも。一人で上手に過ごす方法を探していて。

(傷つくより、頑張るより、寂しさに蓋をする方が楽だもん。)


「あー。幸せになりたいなあ。なんで私だけこうなのかなあ。」と言うと、

「幸せになる努力してるんすか。」と厳しい後輩。


 目を凝らせばそこら中に、小さな幸せがあふれていることも、努力をすれば「それなりの幸せ」を手繰り寄せられることも。とっくの昔に気づいていますよっと。

(努力はもう、疲れたんだよー。)


 努力するの疲れちゃったから君が幸せにしてよ、なんて言ったら君はどんな顔をするんだろ。


「うるさいよ、これだから彼女持ちは(笑)」と小突いた私はきっと上手に笑えていたけれど、幸せになりたい理由がまた一つ増えた。

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