現在、あちこちの都市で厄介者として嫌われているゴキブリのうち、「チャバネゴキブリ」など一部のゴキブリはメトロポリタン種とも呼ばれ、最早原産地が分からないほど世界中に分布している状況だそうです。
どこでも入れる体に高い繁殖率を武器に次々に勢力を広めていく茶色の悪魔の前に、在来種のゴキブリは追い詰められていくばかり。そしてそれは、人間並みの頭脳を持ち、個体識別から作戦会議まで何でも行う「オナガゴキブリ」も例外ではなく……。
やがて滅びゆくであろう種族の悲しき運命を描いたストーリー……なのですが、題材がゴキブリと言う事、そして彼らを彩るユニークで強烈な描写の数々が、どこか奇妙でシュールな雰囲気を醸し出しています。しかし、それでもオナガゴキブリは必死に絶滅の運命を抗おうとしています。
人間をも巻き込もうとする彼らの運命は、果たして……?
ゴキブリが主人公のゴキブリ小説なんですが、なんだ、この面白さ。めちゃめちゃ面白いじゃないか。こういう名作の最初の★を入れられる栄誉に預かれることは、レビュアーとしての喜びです。
まだ途中で(これが序盤なのかどうかも全然分からないけれど)、この先どう展開するのか全く分からないストーリーですが、ここまででも十二分に面白いので、★3入れさせていただきます。
ちなみに、ジャンルも分からないし、似た小説も読んだことないし、そもそもこれが小説なのかどうかも怪しいですが、「面白い文章」であることは間違いありません。
(あと、同作者の出ユーロパ記も面白いので、おすすめです)