【銀河縦断ふたりぼっち】
■アルクビエレ・ドライヴ
超光速航法の一種。前に「空間を収縮させる」ビッククランチ、後ろに「空間を膨張させる」ビックバンを引き起こして見た目上光速を超えて移動する。
前と後ろ、別々に負のエネルギーを供給する装置が必要なために、この航法を実行するには詭弁ドライヴと呼ばれる負のエネルギーの供給装置が2基必要。金属生命体の35m級指揮個体のレイアウトではこれらは肩甲骨のあたりに分散配置される。これらに内部構造が押し出される形となるので彼女らは両の胸が曲線を描く。
■波(ボース=アインシュタイン凝縮)
学術種族における呼称は物質波構造体。早い話が一定の条件下ではどんなに物理衝撃を受けても壊れないようにする技術である。原理的には津波が堤防を乗り越えても形を維持するのに近い。地球人がボース=アインシュタイン凝縮と呼ぶ現象を通常の物体で起こすことで実現する。ただし光子や荷電粒子を受け流すのは不可能(なのでこれらビーム兵器も併用される)
原理的な問題で前方投影面積が大きい方が防御効果が大きい。
ちなみに金属生命体群が採用している技術には学術種族から学習して取り入れたものが相当数あり、これもそのひとつ。その意味では今の金属生命体群を作った勢力ともいえる。
■超予測装置
「予測を超越した予知」を実現する装置。原理的にはアメリカの物理学者マレットの提唱した回転時空モデルと同じものである。
強いレーザー光線を一周させるようなループを作ることで閉じた時間の輪=CTLを創り上げる。強い重力があると重力レンズ効果で光が曲がることはよく知られているが、逆に曲がった光はまわりの時空を歪めるのである。光は質量を持たぬがエネルギーを備えるため、レーザーのエネルギーを積み重ねれば重力と同じ働きをするのだ。そうやって出来上がったCTLに乗せて過去へと信号を送るのが超予測装置である。とはいえごく近い過去へしか送ることはできない。極微の時間で進行する亜光速戦闘中では十分に役立つのだが。
■
早い話が異なる空間同士を繋ぐ時空の虫食い穴である。オーストラリアの物理学者デイヴィスが提唱するところによれば、素粒子加速器で金やウランを衝突させて10兆度を作り、その高温の塊を圧縮して加熱。それによって時空の量子泡にワームホールが発生するので、エキゾチック物質(負のエネルギー)を注入すればものが通れるサイズに拡大するという。
本作で用いられているものは技術的にはるかに洗練されており、ワームホールの出口をかなり自在に制御できる。
ちなみに作中で敵の胴体をちょん切るような用途で用いられているが、これができるのは空間制御に特化したごく一部の突撃型のみである。
◇金属生命体群
◆角田遥(
本作の主人公。金属生命体群仮装戦艦。
形態は少女。手首・足首に身長の三倍もの特異点砲をマウントし、背中から自身より大きい蕾を背負っている。地球を吹き飛ばした仮装戦艦と同型。
武装は主砲として単装四門の特異点砲。頭部副砲塔の荷電粒子砲・レーザー光線砲。護身用に、手の爪と足首から先は格闘武器として機能する。
金属生命体と人類の精神構造はかなり異なるのだが、金属生命体へと改造された彼女はうまく適応している。人類について、そして遥という個人について知り尽くした鶫によって変換されたのが大きな要因だが、本人の強い魂あってのことなのは言うまでもない。
ちなみにシリーズで初めて突撃型を撃破した仮装戦艦である。
胸は大きいが不知火には負ける。
◆鴇崎鶫(
本作の主人公の一人。金属生命体群突撃型指揮個体。オープニング時点で11505歳。
外観は刃の四肢を備えた鋼の少女といった外観。直線と曲線のコントラストが人類の美的感覚でも美しいと感じさせる。頭部にはバイザーと髪の毛に似た放熱板、両腰にはロングスカートのごとき大型のパーツがあるがこれは折りたたまれた副腕である。最初期の先行量産型に属する部類のため、副腕の間合いは200メートルに及ぶが威力は低め。後期になると間合いが短い代わりにより太くより強くなる。
武装は刃の四肢、右目の荷電粒子砲、左目のレーザー砲、両腰の副腕。
金属生命体群の斥候部隊を率いていたが恒星表面にて瞑目種族の
人類が大好きで同胞と思っている。人類が知識化したほぼすべての情報を保持しているほか、地球各所について詳細に調べ上げた。その立ち居振る舞いは限りなく人間に近く、精神性についても人間と金属生命体のそれが複雑にまじりあったもの。
人間の価値観を持ってしまった今、多くの種族を滅ぼした過去を悔いており苦しんでいる。そんな彼女を許してくれた遥は、鶫にとって唯一の救いともいえる。
ちっぱい。
◆
全高三十五メートル(少女型)↔️全長七十メートル(竜型)
リング状特異点の内部で遥たちが出会った、別の時間軸における金属生命体。遭遇時にはその形態から誤認されていたが
今のところ唯一とも言えるユニークな可変機能を備え、遥たちを危機に陥れた。
ちなみに本編で見せた変形は一定の有効性こそあるものの、本来そこまで強力なものではない。鶫が対処出来なかったのは突撃型の変形そのものが初見だったから。
なお貧乳である。
◇機械生命体
◆
不知火級突撃型ユニット。学術種族軍所属だった。
超予測装置を装備した恐らく唯一の機種。優れた空間制御能力と相まってその格闘戦能力は極めて高いが、超予測装置は重量を増加させる弱点でもある。
空間制御のための詭弁ドライヴが大型のために胸部を圧迫し、そのあおりで両腕がない他おっぱいが大きい。
◆
雫級襲撃型ユニット。全高三十五メートル。
巨大な蝶の羽根を持ち、やや幼い体型の少女にも似たシルエット。比較して四肢は大きめ。対艦攻撃用銃剣は二百五十メートル。フルフェイスヘルメット型の頭部からは二基のアンテナがちょこん、と延びている。
六千年前の時点で百二十万機も生産されていたベストセラー機。長年に渡る運用で無数の改良が施されている。銃剣を自切して棍棒にできるのもその一つ。
襲撃型は、突撃型に対して間合いで勝るのが最大の利点である。高性能センサーによりビームは一キロ近くまで命中が期待でき、副腕でも届かぬ距離から刃で攻撃が可能。雫の場合はさらに戦棍で殴れるので都合三回、肉薄されるまでに攻撃機会がある計算となる。(頭部副砲は威力が突撃型と同等程度なのであまり有効ではない)。
ただし、リーチを追求した代償に、センサーとそして「武器を持つ」ことへのリソースが裂かれている。対ビーム防御こそ堅牢なもののそれ以外には脆く(とはいえ地球人類の力ではかすり傷ひとつつけられないが)、銃剣以外の攻撃手段は貧弱。
突撃型と違い艦隊への斬り込みには不向き。特異点砲でセンサーが焼かれてしまう。彼女らはあくまでも艦隊防衛のための兵器なのである。
ちなみに鶫より胸は大きいが幼児体型なので貧乳に見える。
◆"桜花"(改
改変後の歴史における最初の突撃型指揮個体"
職業は家政婦。1万2千年近い歳月、商業種族のある一門に仕えて来た。
ベース機は
◆
もふもふ族の主力
もふもふ族は陸上に暮らす人間サイズの知的有機生命体としては最強クラスの個体戦闘力を誇る。伸縮自在にして強靭な球形のボディ。衝撃を吸収し得る独特の肺構造。柔軟な骨格構造。驚くべき治癒力。銃弾をも見切る動体視力。
だが、何よりも重要なのはその体毛である。
高速の刃物を摩擦力でからめとり、打撃から肉体を守り、抜け替わる事で保温のみならず放熱機能をも発揮するこの天然の防具は、彼らにとって最も重要視される部位である。もふもふしているということはすなわち強いのだ。彼らの社会では毛は社会的地位に直結していると言っても過言ではない。現代ではそんなことはないが、かつては生え変わる時期は家にこもり、守りを固めていたともいう。
そんな彼らが設計した羊も、やはりもふもふである。その体毛は表面積を著しく増やすことでボース=アインシュタイン凝縮による防御効果の増大に貢献し、整流機能や放熱機能を発揮する優れた多機能装甲なのだ。比較的高出力の主砲を装備できたのもそこに起因する。
改変後の世界でも、もふもふ族の科学者によって似たような装甲が開発されている(なお彼らは比較的後発の恒星間種族であるため早期に戦争が終結した改変後の世界では戦争に参加していない)
◆ノーティラス級(仮称。日本語名称は存在しない)
尖塔のごとき甲殻の胴体と、多数の触手を生やした下半身からなる50mサイズの
格闘武装でもある甲殻は恐ろしく強靭で、生半可な打撃は通用しない。
強力な反面小回りはあまり効かない。
■その他もろもろ
基本的には【禍の角】に準じる。ただし禍の角が1万2千年前に行われた歴史改変後の世界なのに対して、【銀河縦断ふたりぼっち】は正史の世界である。
■代表的な兵器
■
高能力無機生命体。様々な形態を持つが人型のものは少ない。大半が50m級。【禍の角】に登場する、学術・商業種族軍が建造した銀河諸種族連合所属の個体と比較してかなり低性能である。突撃型・襲撃型・仮装戦艦の区別がない場合も多い。
ノーティラス級(瞑目種族)やストレイシープ級(もふもふ族)が代表的。
■突撃型指揮個体
金属生命体。35m級で、基本形は人型に似るが四肢の他にさらに複数のアームを保持している場合が大半。
亜光速近接戦闘能力を備える。転換装甲と物質波構造体で身を守り、無慣性機動で接近・その速度で攻撃・防御を行う反応速度を持つ。反応速度向上のために四肢の尖端までがセンサーを備え、それぞれの神経系が自律的に反応するのを腰のコアが統御している。性質上、機齢が高く経験を積んだものほど強力になる。
高齢機の「バンシィ」級(鶫など)が代表的。この世界では禍の角は建造されていない。また兵器技術の発達が遅れたため、禍の角世界と比較して技術的ブレイクスルーはさほど発生していない。
■仮装戦艦
35m級金属生命体。四肢を持ち、上部に副砲塔を備えたレイアウトが多い。四肢の尖端、手首から四基の特異点砲を備え、背面には観測帆を備える。拠点攻撃用の大火力型。一応亜光速近接戦闘能力も備えるが脆弱である。拠点攻撃用の戦艦の代用品として多数建造されたことが仮装戦艦の由来なのはこちらでも変わらず。
■襲撃型指揮個体
35m級金属生命体。四肢を持ち、背面に大型放熱板及びセンサー、手に銃剣あるいは大剣を装備したレイアウトが多い。突撃型に放熱能力・センサー性能・近接武装のリーチで勝るが装甲と旋回性能では劣る。敵の突撃型から艦隊を守るために開発した。襲撃型とは金属生命体群が当初奇襲攻撃用に開発していた時の名残である。
「アンゲロイ」級が代表的。
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