【神々の樹海】

■基幹技術:生命工学及び情報工学。特に第二種永久機関及び多世界解釈について。

■代表的な戦術:

この世界の主力兵器はである。高度なテクノロジーによって生み出された人造神。すなわち神格たちは、地殻変動や気象制御など、奇跡のような能力を備えている。彼らの平均的な武装の射程は1000kmを越え、只の一撃で数千メートル級の山すらも吹き飛ばすのである。

しかし、基本的にはそこまでの攻撃力が発揮される機会はない。戦争は種族の利益のために行われる。そのため、人造神たちの戦いは接近戦が主流となる。強力過ぎる攻撃によて多大な被害を出すことがないように。

■代表的なテクノロジー

◇生命工学

遺伝子操作を始めとした生体の改造・強化・品種改良に関する技術が極限まで進化している。神格や医療分野が代表的。

天体全体を改造し、超新星爆発の衝撃波をやり過ごすという離れ業すら可能である。

◇微小機械

原子数十個から、顕微鏡で確認できるサイズまで様々な機械が存在する。自己増殖能力を備えたものもあれば、ウィルスに限りなく近い微小機械もある。用途に応じて無数の種類が存在していると言っても過言ではない。

◇宇宙技術

恒星間航行技術が存在しており、神々側はかつて光年単位の勢力圏を築いていた。現在は超新星によって、星系外の拠点はおおむね放棄されている状況にある。

地球側でも商用惑星間航行が実用化されている。

◇神格

簡潔に述べると、人間やその他の知的生命体の脳に寄生し、その肉体を強化する機械生命体。巨神と呼ばれる巨大人型(宿主型)兵器をコントロールする能力を備える。

宿主を指して単に神格と呼称する場合もある。この項では本体である機械生命体について述べる。

卓越した生命工学と情報工学によって生み出された超生命体。その形態は蝶のようにも見える。

寄生した知的生命体の頭脳へと情報を移し替え、その思考力を借りることで活動する。また、自らを保護するために宿主の肉体を極限まで強化する。レトロウィルスや微小機械群などを用いて、肉体の遺伝子や生理構造自体を根本から改変するのである。これらの操作の結果、宿主は神格なしでの生存が不能な、バランスを欠いた生命体へと改造される。

また、神格は宿主の自己認識を利用して、自らの拡張身体の制御を行うことができる。自己増殖型分子機械からなるこの身体は”巨神”と呼ばれ、マクロな量子論的不確定性を備えている。

神格それ自体は思考力を備えず、あくまでも宿主の思考力に依存する。ただし、人体を宿主とするものは基本的に宿主の思考を偏向させる機能を備えている。この機能を思考制御と呼称する。

◇思考制御

早い話が洗脳である。

神々が建造する神格に備わった重要な機能。

神格の宿主となった人間の脳内を一部繋ぎ替え、価値観を変更する。神々を第一とする忠実な眷属へと、その自我を作り変えるのである。

あくまでも価値観の変更であるが、この措置から解放された元・犠牲者は口をそろえて「意識はあるのに体が自分ではまったく動かせない。勝手に動くようになった」と証言している。

この措置を受けた脳細胞は強いストレスなどで破壊される場合がある。神格の自己治癒力はこれも再生するが、犠牲者の強い否定の意志があれば、「元の価値観の状態に」復元・固定してしまう。そのため思考制御が機能を停止する場合がある。これは、犠牲者の意志によってストレスがかかり続ける事と関係していると推測されている。

本編時点で確認されている28名の人類側神格はヘルを除き全員その症状である。

人類側勢力はおおむねこの現象のメカニズムについて解明しているが、神々側ではいまだに正確な原因究明はできていない。検体となるべき発症者のことごとくが神々を裏切っているからである。

なお、脳内配線が混乱し、二重人格的症状を発症したヘルという例もある。

ちなみに、人類側神格の神格本体を他の新しい肉体に移植した場合、前の肉体の記憶を書き込まれた上で現在の肉体の脳に改めて思考制御が施される。本編開始時のヘルもこの状態だったが、彼女は価値観の変更を受けた後に後天的学習で神々を裏切った個体のため、思考制御を受けつつも人類への帰属意識を持ち続けた。

◇巨神

巨大神像型兵器。一種の液体金属であるところの流体で構成され、対となる神格(の宿主)の意のままに挙動する。その戦闘力は、熱核兵器に耐え、音速の三倍で巡行し、自力で大気圏の離脱・突入が可能で、半永久的に稼働し、巨峰をたやすく消滅させるほど。

さらに気象制御や、離れた物体を意のままに飛翔させるなど、個体ごとに強力な特殊能力を備えている。

また、標準的な個体は超地平線レーダーを備え、槍を無誘導投射する事で、情報支援なしに1000km先の標的を攻撃可能である。

◇流体

巨神を構成する特異な物質。構造材であり、駆動系であり、演算素子であり、第二種永久機関でもあり、その機能の全てを保持した均一の物体。

実態としては自己増殖型分子機械の集合体。その総和は金属とセラミック、液体の属性を兼ね備えた複雑な化合物としてふるまう。マクロレベルで数々の量子論的振る舞いをする不可思議な物質で、本来は対となる神格とその宿主にしか観測できない。我々がこれを視認できるのは、神格によって物理的に存在しているように「観測」されているからである。観測された通りに振舞うのだ。

神格は宿主の思考力を最大限活用するため、この流体を宿主の形態に形成する機能を備えている場合がほとんどである。すなわち、人間が素体の神格の流体は、巨大な(おおむね50m)人型をとるのである。

この状態を「巨神」と呼称する。

巨神は神格の意のままに挙動する。その用途は多々あるが、最も代表的なのは兵器としての運用であろう。

◇第二種永久機関

流体の主要な機能のひとつ。起こりうる可能性のうちのひとつを観測によって導き出すと同時にそれ以外の可能性を消去・エネルギーへと転換する技術。見た目上は第二種永久機関としてふるまう。流体以外では現状非常に困難であるため、事実上神格専用である。情報工学の極致。

◇常温核融合

この世界でごくありふれた動力機関のひとつ。ある種の触媒としてふるまう素粒子を利用し、核融合反応を高効率化することで実現している。

■代表的な神格

◇ウルリクムミ

非常にオーソドックスな能力を持つ標準型神格。アスペクトすなわち能力傾向は海と大地。優れた水中行動能力を備え、物体の熱運動を制御することで自在に操ることができる。

重量一万一千トン、全高五十一メートル。

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