この最愛の愛娘にも祝福を! ーEpisode 0ー

第9話 Press



「お姉ちゃんも今日は学校でしょ?……はむ。」


「そうですね。三時限目から二年生の予定ですが、一年生たちの朝練を見て欲しいとのことなので、えいみーと共に朝から行きます。」


「相変わらずあいつは人気者だなー。……はむ。」


「あなたも落ち着いてごはん食べてないで、少しはえいみーのお手伝いくらいしなさい。だいたい身の回りの世話から何から何までぜんぶえいみーに任せっきりじゃぁないですか。もう義務教育も最後の年なんですよ?もっとしっかり……」


「わかったわかった。何度も聞いてて覚えたよ。えいみーはしたくてしてんだぜ?私だってちゃんとフォローくらいしてるよ。なぁ?えいみー?」


「んー? 何か言った?こめっこ。

あ。お師様おはようございます。

すぐに支度しますね。」


緑がかった艶のある腰まで長い黒髪が、えいみーの動きに合わせて跳ねるように拡がり揺れる。

彼女には、何でもないエプロンですらあつらえた様に似合う。


切れ長の目、紅く吸い込まれるような瞳、筋の通った高い鼻、少しふっくらと艶やかな唇。

小顔のキャンバスに乗るその神の与えし極上のパーツは、絶妙なバランスでその位置を整えて、まさに神々しいまでの美少女を地上に降臨させている。


事実、彼女の人気は相当のものだ。


歩けばその美しさに誰もが目を惹き、座ればそのたおやかさに誰しも癒される。

その銀鈴の声は万人の心に安寧をもたらし、その宝珠の瞳には神さえも魂を射抜かれる。


学校では、中等部一年生から三年生に至るまで、すべての男子生徒からチョコレートを貰ったこともまだ記憶に新しい。

下級生女子たちの間ではファンクラブなるものが発足し、彼女の写真が高値で売買されており、事態を重く見たアイリス理事長が、学内売買禁止令を設け、一時学内が騒然となった。

高等部の男子は元より、女子生徒から絶大な人気を受けており、妹にしたいランキング一位の座を三年連続欲しいままにしている。

彼女の居る茶道部は常に定員満席で、顧問であるターニャがいつも嬉しい悲鳴をあげている。

定期的に催されるお茶会は、彼女の点前を一目見ようとする参加者のあまりの多さに、茶室から講堂に会場を移し、朝昼夕と三部構成にし、チケット制にまでしたとのことだ。

成績は常に学年トップ。私の顧問する魔道クラスも常にトップ。体力こそこめっこに劣るが、他の教科はすべてにおいて他を圧倒して一位の座に君臨し続けている。


その類稀な彼女の資質が、すべてたったひとりに向けられていると知れば皆はどう思うだろうか……

私はこめっこを見て短く嘆息する。


「 何?お姉ちゃん。」


「いいえ。何でもありませんよ。こめっこ。」


なんであんな素晴らしい子がこんなちんちくりんに……


いや。容姿は良いのだ。


少し茶味がかった背中までの長いくせ毛は、天然の緩やかなウェーブを描き、長いまつげに縁取られた、少し垂れた大きな目に宿る意思の強い紅い瞳。

均整のとれた鼻に、薄く桃色に染まる唇。

黙っていれば間違いなく美人なのだが、男勝りな性格も相まって、女らしいえいみーとはまったくの正反対とも言えるまさに麗人。

実際、常に行動を共にしている彼女たちが並んで歩く姿は壮観の一言に尽きる。

非常に絵になるのだ。


常に堂々とした発言と立ち振舞いをするこめっこに、そっと控え目でたおやかに寄り添うえいみーの姿は、多くの憧れと羨望を一身に集めている。


私のまわりも女神から悪魔に至るまで、様々な絶世の美女が揃ってはいるが、彼女たちの伸びしろを考えると末恐ろしいものがある。


彼女たちはまだ15歳になったばかりなのだから。



「もぅ…こめっこ?あなたまた私のブラしてるでしょ?」


学校の支度を整え、二階から降りて来たえいみーがため息混じりに言う。


「あ? あぁ…そうかも。なんかゆるゆるだと思ったぜ。」


「…もぅ。ちゃんと身体にあったやつしないと、こめっこの胸の綺麗な形が崩れちゃう。はい。ばんざい。」


「あーい。」


甲斐甲斐しくえいみーがブラを着け替える…が……?!


「こ こめっこったらいつの間にそんなに巨乳になったのですか?!」


「んー? あぁぁ。

去年くらいからどんどん大きくなって来てさ。邪魔くさいんだよな。体術ん時とかほんと邪魔。えいみーは良いけどさ。昔から巨乳だし。な?馴れてんだろ?」


「馴れとかじゃないわよ。私だって動き辛いんだから。はい♪出来た。」


ま… まーっこの子ったらウチの子じゃないのかしら?!


「今でサイズはいくらなのです?」


こめっこは少しも考えることなくえいみーに聞く。


「えいみー?私のサイズはいくら?」


「Dの70よ。」


えぇっ……?! すごい…!


「えいみーはいくらですか…?」


「私はFの65ですお師様。」


――――!!


こ 恐い‼


「えいみーが夜中ずーっと揉むから悪いんだぜ? 一昨年まではお姉ちゃんと同じぺったんこ…」


「ぺったんこ言うなバカ妹!!

私の胸は評判なのですよ?! めあねすとカズマに‼

ってかさっきの話に不適切な箇所がありましたよ?!

夜中ずーっと揉むって…何やってんですかあなたたち?! 」


えいみーは頬を押さえて紅く染まる。おいおい。ヤバくないかそれ?


「まぁ今に始まったことじゃないけどさ。寝てる時えいみーが胸揉んでくるんだよ。夜通し。」


「ってかあなたたち寝るのも一緒なんですか?! 」


「あぁ。だいたい一緒だ。別々に寝ても、朝にはなぜか必ず一緒に寝てる。よくわかんないけどさ。まぁ私も特に違和感ないし、えいみーやわかくて温かいしさ。良いかなって。な?」


「…うん…。こめっこの隣で寝るのが一番安心してよく眠れるんですもの。それに、こめっこの胸は張りがあってパンパンですごく気持ちいいから…つい…。」


…………百合だ。うん。危ない。


「そろそろ時間ですね。行きましょうか。」


「あぁ。お師様少し待って下さい。

こめっこの髪がまだ……。」


「分かりました。ってかこめっこ?

髪くらい自分でどうにかしなさい?」


「いえ。お師様。こめっこの髪を毎朝結わえるのが、私の楽しみなんです。今日一日私が一番見たいこめっこに仕上げたいんです。こめっこはこだわりはないので何でもいいんだと思います。」



…………百合だな。うん。間違いない。


「ふふ。今日も可愛いこめっこ………今日はポニーテイルにしようかな?

ふん♪ふん♪ふん♪………よしっ可愛い♪」


…………………。


「ありがと。えいみーは今日もほんと綺麗だぜ。よし行こうぜ。」


「……ありがとう。

…あ。こめっこ待って。腕………。」


「あ? あぁ。

でも人前ではちゃんと離れてろよ?

……ほら。」


「……うん♪ 」


と腕を組んで歩き出す二人。



いやいやいやいや!私がおかしいのか?!



****************



「……り黒く闇より暗き……」


「……の歪みとなりて現出せよ!……」


「…ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰塵に帰し……」


「…そが究極の攻撃魔法、エクスプロージョン!」


「はい!そこまで!」


えいみーは茶道部とは別に魔道部にも所属している。

もちろんどちらにもこめっこも在籍しているが。


ここは魔道部。

未来の魔道士たちが日々研鑽を積み重ね、切磋琢磨する有意義な場所……に違いないの…だが…?


「えいみー先輩お疲れ様でしたー!」

「ありがとうございますこめっこ先輩!」

「きゃぁ!えいみー先輩~‼」

「痺れちゃう‼えいみー先輩こっち向いて~‼」

「こめっこ先輩~抱いて~‼」

「私をあなたの僕にしてくださいこめっこ先輩!」


………なんだここは……?


「えいみー?これは……いつもこうなのですか…?」


えいみーは困ったように笑う


「…お師様。鍛練場所は非公開にしたり、なるべく騒がないようにと注意はしているんですが、なぜかいつも場所がすぐに見つけられてしまって…どうしたらいいのか…」


まぁえいみーとこめっこの熱烈なファンともなると、それくらいどうってことないんだろう。


「分かりました。このままでは、優秀な未来の魔道士の道の障害になりかねません。私がアイリスに話を通して、専用の鍛練場を用意させましょう。」


えいみーが手を合わせて飛び跳ねて喜ぶ


「お師様‼ありがとうございます!」


とたんにギャラリーから声が


「きゃぁぁあ‼えいみー先輩可愛いぃぃ‼」


まぁ

あなたたち二人が居なくなればそんな危惧もなくなるのですがねぇ。


「って…こめっこはどこに行ったのです?」


「…あら?さっきまでそこで……あぁぁ?! 」


突然えいみーが叫んで走り出す。

また歓声が起こるが本人はそれどころじゃないようだ。真っ直ぐ向かいの格技場に走っていく。

どうしたえいみー?


よく見ると

格技場の物陰にこめっこが居た。

高等部らしき男子生徒に何やら手渡されているみたいだ。


「こめっこ?! 何してるのー?! 」


こめっこは走って来たえいみーを抱き止め、笑いながら言った


「どうしたえいみー?もぅ部活終わりか?」


えいみーがふくれてる。えっ?


「……何してたの…?高等部の男の子でしょ?」


こめっこは気にする風でもなく


「あ? あぁそうだよ?さっき呼ばれたから来たらなんか手紙貰った。」


「貸して?……………やっぱり。」


えいみーはこめっこから手紙を引ったくるとなんの躊躇いもなく開けた。えぇっ?


「なんだ?なんて書いてあるんだ?」


「好きですって。返事がOKなら、明日の朝、裏庭の松の木で待ってるって。………もぅ。油断するとすぐこれなんだから……。」


「ははは。ごめんごめん。行かないってば。さすがに高等部はなー。」


「高等部だけじゃないでしょ?!… もぅ。可愛いんだから…。」


「行かないってば。えいみーが居れば何もいらねーよ。」


「こめっこ……」


頬を押さえて真っ赤になるえいみー。

えぇぇっ?! もうだめだろ。これ。


「……授業が始まりますよ?早く校舎に入りなさい。」


「はい!お師様。」


「よしみんな!明日は私が体術と召喚術を教えるからな?ちゃんと予習して来いよ?解散!」


「「ありがとうございました!」」



しかし

二人の行く末に不安しか過らない。

思い返せばあの時からずっとこうだったな。

初めて私がえいみーを実家に連れてった時も。

まぁ身体の関係になってないだけマシか……。


そんなことを思いながら職員室に居るターニャに逢いに行った。



****************



「ターニャ。おはよ。」


職員室ではターニャが授業の準備を早々と済ませ、昨日の実力テストの添削をしているところだった。


「あぁ。おはよめぐみん。今日は早いのね?」


あぁターニャ。あなたの顔を見るとほっとするわ。癒される。今日もほんと綺麗。


「…朝から大変でした…。」


げんなりしてる私を見て


「あぁ!えいみーが言ってたわ。

朝練に顔出してあげたのね?何が大変だったの?」


「……いやいや…あの部活の光景は…動物園の檻に入れられた初心者殺しのようでした…。」


「ふふふ。えいみーとこめっこ人気でしょ?すごいのよあの子たち。高等部からもわざわざ見に来てるくらいだもん。あんだけ目立って可愛かったらねー。しょうがないわ。」


「…それだけじゃないんだけどね?

どうもあの二人…怪しくない…?百合百合しいって言うか…」


「そうそう!ほんとそう。

愛し合ってる感じするもんね。いつもどこでも一緒だし。まぁ仲良しいいじゃない。結婚するんでしょ?えいみーの夢だったんだし。」


ころころ笑うターニャ。

いやあなた。無責任な。


「ほんとにしそうだから怖いの‼

カズマに相談したら、良いぜ?同性でも結婚出来る法律作ってやろうか?って。

ウチのバカほんとに作りそうだからね?可愛い可愛い妹の為なら。」


「ははは。カズマさんらしいな。

あの人もその辺見習って欲しいんだけどなぁ…」


「あの違う意味でバカ勇者。まだプロポーズもせず?」


「……うーん。なんだか一生このままな気がしてる。私はいいんだけどね?結婚するとウチのクソ親父もあとを継げって煩いし。子供出来たら出来たで、バカ可愛がりそうだし…。」


あの邪悪なお父さんか…

さすがのキョウヤもかなりヒいてたもんな。


「でも、あなたが独り身だとほんと心配。そんなに綺麗なのに…ほんともったいない。」


「ありがと。でもいいの。あの人は本当に私を必要としてくれているんだから、言葉や形なんてどうだっていいもの。私はあの人に寄り添うだけ。何の許可も赦しも要らないわ。」


「…ターニャ…。大好きよ。」


私はターニャを抱きしめる。

本当、悪魔のお姫様だなんて微塵も思えない。こんないい娘、人間界にもどこにも居ないわ。あの鈍ちん勇者め。


「ターニャ?今日は来れそう?

ごはん用意してるけど。」


「本当、毎日行ってカズマさんに悪いなぁ。なんかどっちが家なんだか分かんなくなる時あるもん。」


「いいの。私が出来るだけあなたと居たいんだもん。」


「ふふ。あなたと私こそ百合百合しいじゃない?」


「ほんとだ?! 自分では気づかないもんねー?」


女同士の友情も突き詰めればそうなのかも知れないな。

私とターニャが好きあってることも、えいみーとこめっこが好きあってることも、こんな風に本人たちにしか解らない。

第三者的な、理屈や外観では推し計れない想いの深さが、そこにはちゃんと存在してるんだ。


「――――――――♪」


「予鈴が鳴ったわ。行かなくちゃ。

じゃぁめぐみん。今夜は遅くならないように帰るからね?行ってきます。」


「行ってらっしゃい。がんばって。」


手を振って別れた。



****************



魔道クラスも終わり、私は帰りにこめっこのクラスをのぞいて行くことにした。

4時限目は体育の授業だったな。


「こんにちは!大魔道士様!」


行き交う生徒がみな元気な挨拶をしてくれる。

さすがターニャの生徒たち。どこに出しても恥ずかしくない。

すごく誇らしい。


カズマ?あなたの考えはやはり正しかったですね。


幼い頃から万人に等しく教育を施せば、根本から理智的になり、礼節をわきまえ、人を思い遣れるようになり、やがて争いも減っていく。

それは、どんな強い剣聖でもどんな強大な王でも成し得ない、強い力になるのだと。


学校を設立し、義務教育という概念をこの国に導入し、ほんのわずかこの数年で、諸国を巡る争いは激減した。

次第に反戦のムードは高くなり、今では、害をなすモンスターを駆除するだけのクエストしかギルドにはない。


…平和が一番ですね。


「きゃぁぁあ‼こめっこー!カッコいいー‼」



……………………………これか?平和って?



体育クラスをのぞくと

こめっこがスタッフを振り回して棒術の型を披露していた。


「蕩けちゃう…。もぅ…カッコいい!」

「すげぇな!やっぱこめっこが一番だ!」


男女問わずこめっこを中心に口々に

賛辞を述べている。

だんだん他のクラスや下級生たちも集まり始めた。


こめっこのそばでうっとりと型を見ていたえいみーが、私に気づいて走って来る。


「お師様‼ お疲れ様でした。もうお帰りですか?」


「なんの騒ぎかと思えばまたあの子ですか…。相変わらず派手な子ですねまったく……。」


えいみーは、低い姿勢から鋭い連撃を繰り出しているこめっこをうっとり見つめながら言う。


「…かっこいいでしょう?こめっこ。仕方ないです。高等部の男子ですら体術で敵う者が居ないんですもの。最近はオリジナルの技も開発したんですよ?凄いんです!それが!」


えいみーが本当に嬉しそうに言う。


「オリジナルの技?なんですか?」


「クエストの中で思いついたんですけど、魔法と体術を融合させたんです。

私が補助する技も今開発中です。」


「……! なるほど。それは興味深いですね。少し見せて貰えますか?」


「はい!お師様。みんな!ちょっとこめっこから離れて‼

こめっこ!魔装術!」


「あ? あぁ。了解!」


えいみーが声をかけるとすぐにこめっこは反応し、たちまち身体が赤く光りだす。


「魔装術!一の剣。紅蓮!」


そう口にしたこめっこの繰り出す拳撃や蹴撃が瞬時に鋭さを更に増し、 一撃一撃に爆炎が襲いかかる。


……すごい‼

体育教師も皆も息をのんで見つめる。

えいみーが叫ぶ。


「こめっこ! 次!」


「了解。

魔装術。二の剣。迅雷!」


こめっこの真上から雷が落ちて、身体を包む。

刹那、今まで居た場所からこめっこが消え失せ、遥か後方から現れたこめっこが、凄まじい速さで雷をまとった連撃を繰り出す。まさに目にも止まらない凄まじい連撃。当たればズタズタに撃ち抜かれるだろう。


「こめっこ!次!」


「魔装術。三の剣。撃震!」


大地を踏みしめるように立ったこめっこの身体から、金色の光が輝きだし、二回三回と左右に足踏みすると地鳴りが起こり、足踏みと共に地面が揺れ始める。

その大地の揺れの莫大なエネルギーを両手で掴みとる動作をすると、腕が一段と光を増し、一撃を撃つと凄まじいエネルギー波が空に放たれた。一撃必殺の技なんだろう。


……す すごい‼


「ふぅぅ。まだやる?えいみー?」


こめっこがケロッとえいみーに聞く。

先生や生徒が唖然と見守っている。


「お師様。どうします?

まだあと二つありますが、まだ不安定なので、この建物が危険になります。私たちもクエストでしか使ったことがないので…。」


えいみーが遠慮がちに聞いてくるが


「もう充分です。魔法を着るとは考えましたね?凄い術を見せて貰いました。ですが、よほど高い魔法抵抗力が無いと不可能ですね? こめっこ?その力はどこで?…まさか……。」


「へへっ。お姉ちゃんにはバレるとは思ってたぜ。お兄ちゃんだよ。

口止めされてたんだけどさ。」


「……やっぱりあのひとか……。

で。どうやって身につけたんです?そんな病的に凄まじい魔法抵抗力は?普通の人間は焼け死ぬでしょうに。」


それにはえいみーが答えた。


「…お義兄…ちゃんが、お友達を紹介してくれたんです…。お義兄ちゃんの左腕に居るレヴィさんの兄弟だって。バハムートさん。すごく優しくて、こめっこなんてものすごく意気投合しちゃって…。契約したんです。バハムートさんと。」


「……………こめっこ。そんな大事な事はちゃんとお姉ちゃんに言いなさいね?バハムートは普通のそんじょそこらに居る悪魔とは格が違うのですよ?リヴァイアサンと同様、世界の終末に世界を滅ぼす大怪物なのです。」


「ははは。悪い悪い。でもあいつ可愛いんだぜ?私がバニルとも契約してんの聞いたら、一も二もなく了承したぜ。 そんな悪い奴じゃないよ。」


「………あんたら兄妹は……。ほんと血が繋がってんじゃないですか?突拍子もないとこなんて本当そっくりです……。」


「お義兄ちゃん大好きだぜ。あんなひとなら結婚したい。」


私より先にすかさずえいみーが反論


「だめ! あなたは私の!」


えっ?!


「はは。分かってるよ。えいみーは私のだ。」


えぇっ?!

ぽっと紅くなりこめっこに寄り添うえいみー。こりゃだめだ。


まわりを取り巻いていたギャラリーたちから惜しみない拍手が生まれる。


なんでだ?!

私がおかしいのか?!

ターニャ?! 助けてー!




つづく。




****************




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