第2話

受付嬢の彼女、久住(くずみ)夏名(かな)さんは呑んでも笑顔が変わらない、清純華麗な子だった。内巻きな肩までの髪が、可愛らしさを強調している。

お酒はカクテル系で、そのグラスを持つ指先はピンクのジェルネイルがキラキラしてる。


ネイルはしないし、いつもパンツスタイル、おまけにショートボブな髪型の私とは、見た目も正反対な女子力の塊だ。


「九遠(くおん)香子(きょうこ)さんとこうしてご一緒できるなんて、感激です」


一緒にいるだけで癒される。

本当に、昔宮くんグッジョブ。


「ちょっと。それは大袈裟だよ。昔宮くん、彼女に一体なにを吹き込んでるの?」

「吹き込んだだなんて、やだなぁ九遠先輩!デキる先輩にいつも助けてもらってるエピーソードしか僕持ってないですよ」

「昔宮くんからだけじゃなくて社内でも有名ですよ、女で初の営業部二課、しかも主任ですよ。このあいだも社内優秀者で表彰されてましたよね?」


ニコニコして話す昔宮くんと、彼女。

うん、円満で何よりだ。


「あれはたまたま他に候補者がなくて話題性だけで選ばれたのよ」


焼酎を片手にそう言う私に、昔宮くんの彼女がふわりと笑う。


「九遠さんて、とても謙虚な方なんですね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋愛時計 夢呂 @hiropanda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ