第3話ピンク色の・・・
その日僕は全然全くダメだった。朝から母と進路の事で喧嘩をして、むしゃくしゃした気持ちで家を飛び出した。そして数分後に気づいたのだ、カバンも何も持っていない事に。
「何なんだよ・・・も~いいや、今日は天気もいいしサボりだサボり!」
そう決めてフラッと立ち寄った児童公園。朝も早かったせいか子供の姿も無くて何となく寂しく感じた。
ブランコ ジャングルジム 砂場 うんてい
何となく一通りの遊具を試してみた。中2にもなると中々公園で遊ぶことは無くなるもんだ。ちょっと人目を気にしながら遊んでいたが、いつの間にか本気になっていたらしい。遊び疲れて最後に少し大きめの滑り台の踊り場で休憩しようと階段を上ると・・・そこに先客がいた。
「おえわっ!?」
完全に一人の世界に浸っていた僕は変な叫び声を上げて何段か階段を滑り落ちてしまった。まず目に入ったのはピンク色。ピンク色に目が慣れて気が付いた、それはピンクのウサギだと。そして更に落ち着いて観察すると全貌がようやく理解できた。ピンク色のウサギのリュックを抱いたピンク色の髪の毛の少女。それが先客の正体だったのだ。
「あ~・・・あのさ、何時からそこに居たのかな~なんて・・」
ウサギに顔をうずめている少女の表情は全く分からないし起きているのか寝ているのかさえ分からない。1人であたふたとしていると少女が何か呟いたのが聞こえた。
「えっ?なに?」
聞き返して顔を少女に向けたのと少女が勢い良く顔を上げたのは、ほぼ同時だった。
「私が先だった。中学生のあなたが制服のまま公園の遊具で全力で遊んでたのなんか興味無いから!」
睨み付けるような強いまなざしで見上げたその瞳はなぜだろう、キラキラと濡れていて、インパクト大だったピンク色の髪の毛もその時間が平日の早朝だと言うことも僕の頭からキレイさっぱりと拭い去ってしまったのだった。
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