第23話 寝れない男の過ごし方

 朝比奈久遠は夜寝付きが悪かった。これは今に始まったことではなく、一年前から不眠症なのだ。だから深夜3時に起きてる事などざらである。今日も3時まで起きている。周りはシーンと静まり返り、人が生活してるなんて想像すら出来ない静けさである。そんな時間に私は起きている。それと同時にこの時間は私の時間なのだ。という意識が芽生えてきてもいた。シーンと静かな周囲が心地よい。夜風に当たるのも心地よい。不眠症は意外といいのかもしれないと私は感じてきていた。が不眠症のデメリットは昼夜逆転生活になってしまうことである。昼夜逆転生活はさすがに健康に悪く肌荒れしたりする。保護クリームなど試してはいるがどれも今ひとつである。しかし私は不眠症だ。最近は寒いからコンビニに行くこともなく、家で動画を見ながらゴロゴロと生活を送っている。寝るのが朝6時。起きるのが昼2時くらいである。もちろん友人と遊ぶなど予定が入っている時は睡眠薬を使って早寝をしているので、問題はないが、この生活リズムになれてしまうと昼がおっくうになってしまうのである。夜は静かで実に心地よい。しかし昼は騒がしい。パトカーの音。子供が騒ぐ音など、様々な騒音が待っている。だから私は昼が嫌いだ。ご飯だって夕ご飯を食べればそれで充分である。だから私は夜型人間になったのだ。もちろん自ら望んでなった訳ではないが、この静けさと静かな空間を独り占め出来るというのはとても心地よい。東京ではまず体験出来ないだろうこの静けさをなんと形容したら良いのだろうか。私の拙い語彙力では表現しきれない美しさが、こよ時間にはある。コーヒーでも飲みながらただぼんやりと過ごすのである。それが至福の時なのだ。夜中のコーヒーはカフェインのせいで寝れなくなるから避けた方が良いと聞くが、私は夜型人間である。カフェインなど関係ないも同然である。こんな生活を毎日繰り返す訳にはいかないことももちろん分かっている。分かっているが、続けられるならギリギリまで続けたいと思っている。今日も夜風に吹かれながら街を歩く…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る