第5話 当たり前のような非日常と交際の始まり

 当たり前のようにキャンパスライフは続いている。もちろん当たり前のことであるが、私にとっては当たり前ではないことがある。それは絵里の家に宿泊しているという事だ。最近はほぼ毎日宿泊している。絵里も嫌がる事もないので、迷惑は承知であるが、居候のような形をとっている。そして絵里とは交際が始まっていた。早すぎるのはお互い様である。しかしこうも毎日一緒にいると、ずっと前から一緒にいたような不思議な感覚になることも少なくない。そしてなによりあの不思議な相棒「そのだくん」がいる。彼の存在は私にとって非常に大きい。一度絵里にそのだくんについて聞いたことがあるのだが、そのだくんのプロフィールはそれはそれはテキトーなものであったが、唯一まともだったのが主食は絵里の愚痴とストレス。ということであった。きっと皮肉な事に私の相棒の主食は私への愚痴なのであろう。そして私が2日目に勝手に相棒として扱ってしまったのも、そのだくんにとっては気持ちのよいものではなかったのかもしれない。いずれにせよそのだくんなるものは、ただの抱き枕であり、無機物なので本当に食事をすることはないのだが、この相棒がいないと私はどうも寝付きが悪く落ち着かない。そのだくんには申し訳ないが、しばらくは私の相棒になってもらう必要があるなと感じた。もちろん本業は絵里の相棒なのだろうが…無論私がそのだくんの立場なら、絵里に抱かれるほうがよい。私に枕にされるよりは余程心地のよいことだろう。だが相棒は無機物だ。そんな事は関係ないのである。こうして私と絵里とそのだくんの男女と抱き枕の生活がスタートした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る