おはなし
部屋のベッドにブレインは座っている。アメリは近くに立って、リカが戻ってくるのを待っていた。部屋の中で鈍く蛍光灯の光を反射したブレインの足に、アメリは目を留めた。
「その足、どうしたの」アメリはブレインの足を指す。金属の鈍い光がアメリを見返した。
「xx年の戦争で吹っ飛ばされたの。今の足はサイバネティクス」生身の足より丈夫でいいわよ、とブレインは言った。アメリは答えに困り、その場しのぎの相槌を打った。
「それよりあなたの耳こそどうしたの。あなたのじゃないんでしょう、おねえさん?」曖昧な返事を返したアメリに、ブレインは少し怒ったように言った。
「……違うよ。私のほうが妹だ。私とリカの耳は、レーザーに焼切られた、それで」惨劇の夜を思い出すのかアメリは耳を引っ張った。ブレインはリカの継ぎ目のない耳を思い出した。左手の甲で目を抑える。
「根元から付け直したのね。それで、もとの耳はあなたにつけられた」アメリは頷いた。ブレインは立ち上がって閉じている扉に声をかけた。
「すーくん、趣味が悪い」扉が開いて、フォルとリカが入ってきた。リカはばつが悪そうに手の甲で口を押えている。
「聞こえてたのか。流石だぜ」両手を顔の横に掲げ、フォルは降参のポーズをとった。
「次に背のことからかったら許さないわよ」もちろんだ、とフォルはうんうん頷いた。
リカはブレインのスカートが揺れるのを見て、昔着ていたワンピースのことを思い出した。
ブレインはそんなリカを、不思議そうに眺めた。
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