第27話 恐怖
私は恐る恐る白い扉のノブに手を掛けた。
回す。回った。
そのまま引く。カチャと音がして扉が開いた。
意を決して大きく開く。
開いた先には、いつも食事をするテーブル。その傍にキッチン。
これが偽物?
テーブルを叩いてみる。固い。キッチンのコンロの方に回ってみる。綺麗に磨かれてある。試しに火を点けてみる。青い炎が出た。
本当に、何が偽物だというのか分からない。
きょろきょろと見回して、流しの脇に通路があり、突き当たりに扉があることに気付く。
どこに繋がってるんだろう。
私は何の躊躇いもなくノブに手を掛け、回した。鍵は掛かってない。そのまま大きく開く。
その先は見えなかった。
いや、真っ白だった。
何もない、が正しいかもしれない。
普通は家ならどこかしらに繋がっている。
でも、この先にはないのだ。
これが、ソーマの言いたかったこと。
私はソーマよりもこの事実に、とてつもなく大きな恐怖を感じた。
私は、どこに住んでいるの?
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