第2話 色
眩しい光で目を覚ます。
今日は水が落ちてこない。
外は下にキラキラと輝く黄緑と緑と深緑。もっと複雑に緑色が重なりあっているけれど、私には「黄緑」と「緑」と「深緑」以外に緑色を表す方法を知らない。
上には青と白。昨日は灰色だった。
ふと、部屋の中の壁にかけられた絵を見つめる。
どんなに長い間見つめても、壁にかけられた絵は動かない。絵の花は色が変わらない。だからこれは絵だ。外じゃない。
赤、黄色、緑、黄緑、紫。
この間見た鳥は、黄緑色だった気がする。
また、見たいな。
ふわっと風を感じた。
再び外に視線を戻すと、手の中に収まりそうな可愛い鳥がいる。茶色と白の鳥だ。
私と外を隔てる物のせいで、また触ることが出来ない。でも私が叩いても何も起こらないこの物のお陰で、私に気付いていないよう。こんなに近くで見ることが出来るなんて。
茶色と白の鳥が少しの間飛ばずにいてくれた後、
次のお客さんが来た。あの、黄緑色の鳥だ。
なんて可愛いのだろう。
小さな頭を撫でてみたい。私のこと、好きになってくれるかしら。
お話しできたら、仲良くなれたらいいのに。
「私はシェリ。あなたは?」
話しかけてみたけれど、聞こえていないみたい。
そもそも鳥はお喋りするのかしら。聞いたことはないけれど…。
この物さえなければ聞こえたのかな。
じっとして、動かず、ちょっと息も止めてみたけれど、外からの音は聞こえない。
やがて黄緑色の鳥も飛んでいってしまった。
私はため息をついて短く落ち込んだ。
もしかしたら、落ち込んだフリだったのかもしれないけれど、その後すっと立ち上がり、ベッドに飛び込んだ。
バフッと布団が跳ねあがって、ベッド自体はギシッと軋んだ。いつものこと。いつでも私を受け止めてくれる。気分が落ち込んでいる私も、楽しそうにしている私も、選ばず全て受け止める。
ふかふかの布団に顔を埋めてちょっとした寂しさを気のせいにしようとした。
お話ししたかったな。
ふかふかはやがて私を眠りへと誘う。
シンと静まり返った部屋。
白い扉が開かない限り、この部屋は締め切られている。
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