第21話 Sillimanite
「
「ん~いいけど…」
「じゃあ予約入れちゃうよ」
正直、新規でロングは嫌だ。
初対面のどこの誰かも解らない男と長時間裸で過ごすのだ、気乗りはしない。
なにより、タケルと長時間、離れなければならない。
それが何より嫌なのだ。
今は、とくに…。
「タケル!お昼食べよ」
決まった時間ではないが
務め始めた頃は、近くの飲食店かデリバリーを頼んで事務所で食べていたのだが、タケルが務めてからは外出して食べることが多くなった。
「今日はね~」
タケルの手を引いて店を後にする
明日はタケルに何を食べさせるか…
客との2時間と違い、タケルとの2時間は早い。
本当に同じ長さなのか?と信じられないほどに早い。
真剣にタケルに金を渡して、自分を指名させようかと考えたこともある
さすがに、そんなバカなことはしないが、タケルと一緒にいることが、自身の安定に繋がると無意識に理解しているようだ。
休憩を終えて、事務所に戻るときは憂鬱になる。
またタケルと離れなければならないから。
今日のように予約が入っているときは、なおさらだ。
戻ればすぐにホテルに向かわなければならない。
タケルに送迎してもらうのだが、あれ以来、それも怖いと感じる。
また、同じようなことが起きたら…今度は、命まで…どうしても考えずにはいられない。
マンションに、かくまっておければ…それとなくタケルに言ってみたが断られた。
「じゃあ行くけど…気を付けてね…事務所に戻るか、車から出ないでね」
心配そうに、名残惜しそうに、
「あぁ…解っている」
笑うタケル。
「うん…」
本来なら立場が逆であろう会話。
恋人の嬢を心配するドライバーなら解るのだが…。
ホテルの入り口から客に電話する
「あぁ…指名頂いた
「指名ありがとうございます」
部屋で待っていたのは…あの男…。
お金を受け取って、事務所に連絡する。
「シャワー行きましょうか」
服の上から身体を両手で確かめるように
「この身体もいいかな…」
ボソリと呟き…ニタリと笑う。
その表情に嫌悪感を抱く
Sillimanite…『和名は
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