無題




「ついた、起こして」



「起きて」



少し彼女の体をゆするとパッとすぐに起きた。


「ごめん!寝ちゃってた、、、。」



彼女の寝起きはとてもいい。

すぐに起きる。


「イズの家着いたよ。最近、仕事忙しかったんろー?家でちゃんと寝れ。」


「イズちんたのしかたよ、ありがと、また誘うよすぐ。次、あかねたちも呼んで、温泉旅行、いこ。」


助手席のやつはふわふわと彼女に手を振ってる。


「ごめんね、ありがとう。」


彼女は申し訳なさそうにうつむいた。


僕はドキっとした。



「おい、お前も降りろよ。」


「は?」


「家近いだろ、歩け」


あからさまににやにやとした表情で

運転手と助手席からヤジを飛ばしてくる。


無表情で彼女と車を降りた僕は彼らに心の中で、ものすごく感謝した。


「じゃな!」


そういってビュンっと車はすぐに去っていった。


深夜3時。

寒い。


「寒いね。行っちゃった。たのしかたなぁ。」


そういって重そうなトートバッグを肩にかけ、

マフラーに顔をうずめ、ポケットにてっを突っ込んでる。



「ん、本当寒い。家、どこ?送るよ。」


「そのアパートだよ。七瀬君は?ここから近いんだ?」



マフラーに顔をうずめながら聞いてくる彼女と、どうにかなれればいいのに。とか、もうどうしようもないことを考えてしまっている。


僕の家はここから近いなんて降ろされたけど、

歩いて小一時間は、かかる。


別に嘘をつく必要もないか。


「ここから歩いたら1時間だけど、タクシーなら10分だよ。」


「え?なんで降ろされたの?」


そういって、いたずらっ子のような笑い顔で、あの人たちひどいねーなんて言って笑ってる。


かわいい。つい見とれて聞き逃すところだった。


「うちくる?」


彼女はあきらかにそういった。

なんもないけど。と付け足して。


彼女に下心がないことくらい、わかっていた。

そういう人間じゃないからだ。


そして、僕のことを信じてくれているのもわかっていた。


問より、あいつらの言っていた、なついてる、というのが、自分でもちゃんと気づいていたからだ。


「ありがとう。」


彼女の部屋はとても暖かった。


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