第2話5-2

 多少の余裕が出来たからか、5人は部屋の様子を見渡す。

 部屋の大きさは15畳ほど、木造建築でできた書斎室で、年代を重ねた木目は深い味わいを生かしていた。壁の両側に本棚に整頓された本が。今は、本雑誌はデータ化され、紙で出版された物は過去の遺産化になり始めている

彼女たちが座るテーブルと対面に、主の執筆活動に使う机と小窓が描かれていた。

ベッテルは、机に寄りかかりながら、彼女たちの方を向いている。

 「素敵な、書斎ですね」

 「何、単に私と一緒で古臭いだけだよ」

ヴァ—シャの言葉に謙虚に、答えるが悪い気はしないで知る。

 「生前使っていた部屋でね。君たち会うのなら、殺風景な部屋じゃ味気ないだろう」

ベッテルの話を聞いて、ユミハはコルネリアに耳打ちしながら、

 「何か、思っていた雰囲気と違いますね」

 「執筆者と言うから、もっとお堅いかと」

 「ですね」

二人の話に耳を傾け、

 「まぁ、この性格は昔っからでね。え~、と・・・」

 「ユミハです」

 「コルネリアです」

二人が、名前を名乗っていると、3人も名乗りはじめる。

 「ヴァ—シャです」

 「エーファで~す」

 「ユラですよ」

 「おっと、そうだったね。すまんな最近物覚えが悪くって」

 「え?物覚え悪いんですか?」

データが記憶障害になるなんて、意外な事があるんだとユミハは驚きを隠せない。

 「フッ、あはは、単なる例えだよ。データが、間違える事ではないよ」

 「あ・・・」

当たり前の事に驚き、顔を赤らめるユミハ。

 「あら、エーファさん、ユミハたら顔を赤らめちゃってますわ」

 「ほんとですわユラさん、お~、恥ずかしい事」

 「先輩!」

ユミハをからかう二人、その間に入って仲裁するヴァ—シャ。

その様子をコルネリは笑みを浮かべて、眺めている。

 「コルネリア君」

 「はい」

 「いい友人を持ってるね」

 「はい。みんな私の大切な友達です」

 「友達か・・・」

 ベッテルは、彼女たちのやり取りを見ながら、自分が若かった時の記憶と重ね様としているが、記憶の断片が欠如しているらしく、はっきりと思い出す事は出来ない。

それでも、そのやり取りを微笑ましく、懐かしく思いながら一時を過ごす。

 「たくっ、本当に何やっているの。まったく」

ユラとエーファの頭を押さえつけ、ベッテルに陳謝する。

 「本当に、申し訳ございません」

 「「ごめんなさい」

 「いやいや、此方こそありがとうと言わせてくれ」

 「「「え?」」」

何で感謝されたのか、疑問に思いながらお互いの顔を見つめる。

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