第27話4-8
船内に入り、荷物整理はコルネリア、機内チェックはヴァーシャ、生命維持管理はエーファ、パイロットはユラ、コンピュータによるサポートがユミハとそれぞれ役割を担当し作業を行なう。
基本、宇宙へ出てしまえば自動操縦で航行されるが、離発着や星系から離脱突入は、微妙な調整が必要なためか、未だ人の手でう住されいる。
「荷物の整理終わりました」
「機内チェック全て異常なし」
「水、空気、電源、オッケイ」
「はい、了解しました」
無線から送られくる知らせに、ユミハはパネルに映し出されるチェック項目に、目を通しながら、再確認している。
「ユラ先輩、チェック項目確認終えましたた。問題なしです」
「…」
「先輩…?」
「ごめん。話しかけないで…」
真剣な眼差しで、計器類とコントロールパネルをマニュアルを読みながら、操作の手順を指差しで一つ一つ確認していた。
「えっと…、これがエンジンで…、これは…」
たどたどしく、覚束無い指の動きに、ユミハは、
―大丈夫かな…―
と、心の中で呟き、ため息で不安を掻き消し、落ち着きを保ち、とりあえず、目の前の事に集中する事にした。
「あ、そうそう。これこれ…」
ユラが、エンジンの始動スイットを押して行くと、操縦席に、微かな金属音と振動が伝わり始める。
それに合わせ、ユミハも点灯してくる警告灯に問題ないか、マニュアルで確認しながら異常チェックを行う。
操縦席のドアが開く音がするので、そちらを振り向く。
「おまたせ」
「只今戻りました」
ヴァーシャ、エーファ、コルネリアの3人は。船内のチェックを済ませた後、報告を兼ねて様子を見に操縦席にやって来た。
「お疲れ様でした」
労をねぎらうユミハに、ヴァーシャは耳打ちするように小さな声で、
「どう?」
ユラの様子を伺う。
「…まぁ、…大丈夫だとは思いますよ」
ユミハの言葉と、3人が入って来ても気づかない様子のユラの姿に、分かっていたとは言え、一同は一抹な不安を抱えていた。
「なぁ、ユラ」
「…ん?」
「くれぐれも、安全運転で頼むわ」
「…うん…」
エーファの言葉に、曖昧に返事をしながら手を動かすユラ。
「ユミハ、苦労かけるな」
「いえ…」
コンピュータに一番詳しい為、ユラのサポートと船の制御を任せられた後輩は、苦笑しながらも目は笑っていなかった。
「じゃ、私達は、客室に行っているから、あとはよろしくね」
これ以上、2人の邪魔にならないようヴァーシャとエーファを操縦席から引っ張り出しながら、コルネリアは笑みを浮かべユラとユミハに手を振る。
「はい」
出ていく時、顔だけをドアからひょっこり覗かせ、
「あ、宇宙に出たら、お茶の用意をして待っているからね」
「ありがとうございます」
ユミハの返事に、手だけを振って合図する。
「さてと、これ以上期にしても始まらん。なるように、なるしかな無い」
「そうね、無事”ボルディー”につければ」
「案ずるが生むが易しね」
客席に座り、覚悟を決めたかの様な3人は、祈るような気持ちで、静かに動き出した船体に緊張していた。
「ねぇエーファ、それ何?大事そうにして」
「へへぇ、内緒」
席に着く時、エーファは小さなキャリングバックを大事そうに抱えながら座り、不思議そうにしているヴァーシャに、笑みだけを浮かべた。
管制室とのやり取りが終え、支持された滑走路へ向かう船体。
「いよいよね…」
段々と加速していく毎に身体に加重がかかる感覚に、コルネリアは宇宙に出る出る実感が湧いてくる。
「うん…」
静かではあるが、確実に速度の増す船体は、地面から離れていき、高度を揚げて行った。
成層圏を離脱し、宇宙へと舞い上がる5人を載せた宇宙船は、目指す地”惑星ボルディー”へと向かうのであった。
其処で彼女達は、一体、何を見て、聞いて、感じ、そして、自分たちの運命に何が待ち構えているのか、まだ何も分からない。
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