第26話4-7
ユラは、そんな事も気づかず、はしゃぎながら宇宙船を一つ一つ確かめる様、念入りな眺めている。
「すごい、これって新式のエンジンよね。この世代で、採用されていたんだ。ねぇ、みんな見てみて」
一瞬、何でコルネリアがユラを差したのか分からなかっが、ヴァーシャとエーファは直ぐにそのことに気がつき、お互い顔を見てハッとする。
「「…あっ」」
まだ、理解できないユミハは、小首をかしげて、ヴァーシャとエーファに尋ねようと顔を合わせる。
「あの…、一体どういう事なんですか…」
ユミハの言葉が、聞こえているのか聞こえていないのか、2人はその場に立ち尽くし口を開く。
「そういえば、忘れていたよ」
「ええ…、もう半年前だもんね」
遠い目をしながらユラを見つめる。
「ヴァーシャ先輩?、エーファ先輩?」
不思議そうにしながら、こちら声が届いていない事に戸惑いを隠せずにいた。そんなユミハに、コルネリアは笑みを浮かべて近づいてくる。
「ユミハは、まだ知らなかったみたいね」
「何をです?」
「ユラはね、宇宙船のパイロット免許を持っているのよ」
「えっ!あのユラ先輩がですか!」
流石に、ユミハ言葉は当人に対して失礼にあたるが、それだけショッキングな事で驚きを隠せないでいた。
「普通、驚くよな」
「私達も驚いたわよ」
ユミハの驚きに、予想通りの反応だと思いながら、2人は深いため息をついた。
「みんな、どうしたのよ一体?」
4人の側に駆け寄る屈託の無い笑みを見せるユラを見て、悪気があるわけではないのだと自分に言い聞かせた。
「ねぇ、ユラ?」
「何?ヴァーシャ」
「その…コルネリアから、何か話聞いている?」
ヴァーシャの口篭った言葉に、最初は何が言いたいのか思ったが、一瞬間を空けてポンと手を叩く。
「うん。一昨日ね、コルネリアから話があって、宇宙船の操縦をしてくれって。そんで、このマニュアル渡されたの」
そう言い放ちながら、特捜に携帯端末からマニュアルを映し出す。
「一昨日かよ…」
頭を抱えてうなだれながらも、平静に保ちながら、ユラに寄り添う。
「なぁ、ユラ」
「何?」
「まぁ、なんだ。操縦すのはいいんだが、肝心の免許の方はどうした?」
「如何したって?何で」
「何でじゃないだろう!。いいか、半年前の事忘れたか?あの時はお前、仮免だっただろう。お陰でどんな目にあったか、此処で一つ一つ話そうか」
血走った眼差しでユラを睨み、半年前の出来事に恐怖した思い出を思いこされて興奮せざる終えないエーファだった。
「…あ~」
ポンと手を叩き、今の今まで忘れていた事に気がついて、照れ笑いをしながら謝罪をするのであった。
「ごめんごめん。今度は大丈夫だから」
「ごめんじゃないだろう」
ユラの顔を平手でほっぺたを押しつぶし、怒りをぶちまける。
「いたい、いたい」
「エーファ、もういいでしょ」
ヴァーシャが二人の間に割って入り、コルネリアとユミハがエーファを抑え落ち着かせる。
「大丈夫?」
「ありがとう」
「で?。仮免は卒業したの?免許はちゃんと持ってる?」
ヴァーシャも未だ半信半疑なのか、念を押すように執拗に免許の話を切り出す。
そんな心配を他所に、良くぞ聞いてくれたと得意げな顔をみんなに見せるが、その自信が返って心配を助長させていた。
「これを見ろ!」
印籠をかざすように、携帯端末に映し出された免許には、確かに仮免ではなくちゃんと免許を取得していた。
「「「「おお…!」」」」
「フフフ…。どうだ、私だってちゃんとやっているんだから」
見紛う事なき、正真正銘の免許をである事に一同安堵の表情を浮かべる。
「先輩、何時免許取ったんですが?」
「3週間前」
4人とも、その場に崩れ落ち地面にへたり込んでしまう。
「流石に、私も3週間前に取ったと思いませんでしたわ」
ユラの言葉と地震に、もっと早い時期に取得していたのかと、コルネリアは思ったいたので任せようとしたが、超初心者のユラに任せて大丈夫かと不安がよぎる。
「おまえな…。半年の間何やっていたんだ」
もう、起こる気力も無くその場にへたり込みながらユラを見上げる。
「仕方ないじゃん。色々あったんだから」
膨れ面になるユラを見て、覚悟を決めたのかその場殻立ち上がり、埃を払うヴァーシャは一度深呼吸をする。
「まぁ、いいわ。こうなったら、安全運転でお願いねユラ」
「任せておいて」
こうなったら、この頼りないこのパイロットに、何とか目的地まで無事たどり着いてくれれればいいので、くれぐれも余計な手間が掛からないで欲しいと、願う4人だった。
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