第24話4-5
”ローマン・ヴェッテル”、この名前を聞いた事のある人は少ない。
”惑星ランスケープ”の大学で歴史学者として教鞭を振るっていた人物であった。
そのヴェッティルが研究のテーマとしていたのが、”ハンネス・エーヴェルハルト”の人物像を研究していたである。
”ハンネス・エーヴェルハルト”を研究している歴史学者は数多く、著書も様々なものがが流通している。
しかし、それは彼の偉業をたたえるものであり、どれも似たり寄ったりな文面でしかなかったが、ヴェッテルだけが客観的な観点から彼の業績を研究していた。
しかしそれは、エーヴェルハイトを偶像崇拝にも似た、ある種の神格化された彼の偉業を侮辱するものとし、その研究は否定されてしまう。
著書も幾つか出版されたが、どれも少数部数が出るのに留まり、人々には殆ど目に留まることも無かった。
ヴェッテル自身は、その所業から学会を追い出され、半ば逃げるようにして”惑星ボルディ”へ移り住み小さな学校で教鞭を振るい、ひっそりと暮らしていた。
人形劇の題材である、エーヴェルハイト自身の記憶の閲覧を行おうとした所、閲覧禁止とされ途方に暮れる4人に、ユラは一つの提案を出した。
エーヴェルハイトを研究していた歴史学者の記憶に観覧したらどうかと言う。
しかし、どれも似たり寄ったりの額面通りのテンプレートな言葉は、授業を受けている感じでひどく退屈だった。
そんな当たり前の学者に、当然ながらエーファは乗る気は無なく、提案したユラも面白くないと思い却下された。
そんな中、検索をしていたユミハが偶然、ヴェッテルの名を見つけたが、その無名な歴史学者の名前をユラ以外は聴いたこと無い名だ。
話によれば、歴史好きな愛好家にとっては、知る人は知る、かなりマニアックな人物だという事。
ユラは、名前は知っているものの、著書や研究内容までは良く知らず、話によれば変わった論点からエーヴェルハイトを研究したらしく本人もかなりの変人と言う噂である。
そんな性格と研究が災いしたのか、学会でも議論を呼び、結局ヴェッティルは学会を去り”惑星ボルディ”へ移り住んだという。
変わり者の言う話に、エーファは興味をそそり早速会いに行こうと提案するが、彼は5年目にすでに他界していた。
それなら、ヴェッティルの記憶が保存されている管理局のある、ボルディにまで出かけようと言い出す。
しかし、”ボルディ”までは”ランスケープ”から2日かかる宙域にある惑星で、往復4日の行程は土日の休日では帰ってこれず、仕方なく2週間後に訪れる、夏季休暇まで待つ事とになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます