第22話4-3

「お前は、あいった子が趣味なのか?」

 イカ焼きを手にした青年の方に手を回し、一部始終を目撃していた、もう一人の青年が下心を見せていると、少しムッとしながら、方の手を払い除ける。

「そんなんじゃない。ただ、彼女が納得する形を作ってやっただけさ」

「面白くねぇ、答えだ」

「ほっとけ」

 そんな二人の下に、彼らよりも年下の軍服を着た青年が小走りに歩み寄り、敬礼をする。

「中尉、先輩、全員集合しました」

「ああ、ありがとう」

「ご苦労さん」

「いえ」

 部下であり、後輩でもある青年に、一応の礼は言ったものの、心中は穏やかではなかった。

2人は、面倒くさそうにしながら、部下達のいるゲートへ向かい、1人はイカ焼きを口にする。

「あ~、いやだね」

「ん?。暴動鎮圧に、行くのがか?」

「其れもあるが、鎮圧だけで済まないだろね」

「いやなら、デスクワークに配属してもらえ」

「いや、デスクワークは苦手だ」

「だったら、文句言うな」

「だから、嫌んだよ。これから先の事も…」

「先の事?」

「何でもない」

 これから向かう、”惑星ブルクレン”で行われている大規模デモは、悪化の一歩を辿り暴動としていた。

そんな危険な場所に、派遣されるのだから、民衆にしろ部下にしろ、ただでは済まないであろう状況に晒されるのだから、気が気では無い2人であろう。

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