第17話3-5

「先人たちの勝ち取ったものを無駄にするつもり…」

今にも一団に、飛びかかるのではないのかとコルネリアを心配する4人。

「コルネリア…」

 見かねたヴァーシャが声をかけると我に返ったのか、落ち着きを取り戻すため、大きく深呼吸をし平静を保つように、いつもの笑みを浮かべてみんなの方へ振り向く。

「ごめんんさい、嫌な思いをさせちゃって」

深々に、頭を下げ4人に謝罪をする。

かえって、その姿に恐縮してしまい声をかかけずらくなってしまった。

「ううん、私こそ余計な事言っちゃって…。コルネリアごめんんさい」

 頭を垂れるコルネリアに、ユラは自分の不用意な発言で不快な思いをさせてしまっと、さらに頭を下げて謝罪した。

「あ、違うのよ。私の勝手の事で、ユラの責任じゃないわ」

ユラの勘違いに困惑し、慌てて訂正するように肩に手を添える。

「ほんとう?」

「ええ、ほんとうよ」

 コルネリアの笑みに、ユラも笑みを返す。一連の事情が、終わったのを安堵の表情を浮かべ、エーファが2人の肩に組む。

「さてと、帰ろうか。エーヴェルハイトの資料も、まとめないといけないしさ」

「がんばってね」

「あいよ」


 重苦しい空気を払拭され、3人が笑顔で歩みを進める後ろ姿に、ヴァーシャは自分では出来なかった一連の流れを歯痒くもあり、うらやましさを感じた。

 3人に追随しながら歩みを進めると、その場に立ち尽くすユミハの姿が夕日に映し出され、その視線の先には、ランスケープ自由推進党があった。

思う事があるのか、真剣な表情は何を見つめているのか、ユミハの心情をヴァーシャには知る由もなかった。

「ユミハ、行くわよ」

「あ、は、はい」

ヴァーシャの言葉に我に返ったのか、ハッとなり慌てて振り向きながら、小走りに4人の元に駆け寄り、長く延びた5つの影が重なっていく。

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