第16話3-4

 夏とは言え、日もだいぶ落ちかけ辺りが茜色に染め始めた頃、岐路へ足早と急ぐ姿が目立つようになっていく。


5人もそろそろ、家路に向かい歩き出そうかと思われた時に、一つの団体が公園に集まりだした。

人数としては、十数名とそれ程多い人数ではないが、各々旗屋プラカードを手にし、マイクを掲げて何やら演説でも始めるのかのようだった。

「ねぇ、あれ何かな?」

一団に気づいたユラが、その集団を遠巻きで指を刺し、4人はその指先の方向をみる。

「何か、集会みたいな感じですね」

目を凝らして確認するユミハが、不穏な空気が隣にあるのを気づく。

それは、コルネリアが一団に向けたもので、憎しみともいえる敵対心を思わせ、今にも飛び掛りそうな雰囲気で体震わせている。

その様子にユミハは、コルネリアの近寄りがたい空気に、あの団体と何かあったのか聞き出す事が出来ないでいた。


「あれって、もしかして…」

「「あ…」」

 ヴァーシャの言葉に、ユラとエーファはハッとなり気まずい空気の状況を理解した。

3人の空気と、一人理解出来ないで問いただせないまま戸惑っているユミハに、コルネリアは察したのか一言つぶやく。

「ランスケープ自由推進党よ…」

「あれが…、最近頭角を表して来た…」

 その言葉に少し驚き、団体とコルネリア見比べて、さらに3人の表情を見ると、どうやら何やら話しづらい事があるのだろう。

「まぁ、なんて言うか…」

「ね、ねぇ…」

言いずらそうに、口ごもるヴァーシャとエーファだったが、ユラはそんな事お構いなしに、あっさりと口を開いた

「ユミハ。彼らはねコルネリアの両親の党と対立してるのよ」

 ユラの言葉に、2人は空気読めといわんばかり睨み付ける。


その言葉と、2人の態度で理解したユミハは、恐る恐るコルネリアの様子を見るべく振り返る。2人も恐る恐る降る向き、ユラだけはキョトンとしていた。

「別に良いわよ、そんなに気を使わなくっても」

そうは言っても、この気まずい空気の中、気を使わない方が無理な話なわけで。ただ、約一名を除いてだが。

「我々は、問う。何故、現政府は平等と言いながら、非平等を行う矛盾を孕んでいるのかと言う事を」

 一団、”ランスケープ自由推進党”は、公園を通りかかる人々にも自分達の声が聞こえるように、マイクの音量を上げ演説を始める。

「有りもしない、平等を掲げ民衆を管理し、独裁を行う現政権の横暴を許して良いもの何か。我々ランスケープ自由推進党は、民衆に真の自由と解放を行い者である」

リーダーらしき人物が、声を上げるとそれに同調する支持者らし人達が、声をそろえてシュプレヒコールを唱和する。

「ランスケープ自由推進党万歳」

「独裁政権反対」

「ランスケープに、真の自由を」

 反社会的な言動とも捉えられる彼らの演説は、通る人々から冷たい視線が突き刺さり、あるものは我関せずと言わんばかりに足早にその場を立ち去ろうとしていた。

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