第6話1-5
学園祭とは言え、部活動の一環であるのと、部と部員の評価、部費の査定につながる。その為、各部はしのぎを削り出し物に、創意と工夫を凝らし評価を上げていく。
人形劇同好会も、立ち上げ初年度という事もあり、人形という手前、子供たちに劇を見せる事に主眼を置いていた。
その為、月に数回課外活動として、各学校、病院や戦争孤児等の施設に慰問を行い、実績を上げて来たが、学園祭での失態で評価と共に部費が削られ、崖っぷちな状況に立たされている現実に再び突き落とされたのである。
「何か、相当トラウマになっているのですね先輩たち」
先程から、4人を奈落の底に誘う失態がなんだったのか、ユミハは興味をそそるが、余計な詮索をしない方が身の安全と思い、好奇心をひた隠す。
「と、兎に角、時間もない事ですし、どんどん言っていきましょうよ」
この流れを払拭する為、ユミハの言葉に賛同し、数出せば何かあるだろうという思いで、箇条書きに書き出していくが。
「伝承もの」
「却下」
「SF」
「却下」
「悲恋恋」
「却下」
「だいかいじゅうしんげき」
「却下」
「歴史もの」
「却下」
「ファンタジー」
「却下」
「英雄伝」
「却下」
各々の意見を出すが、エーファの琴線に触れないのか、返す刀でバッサリと反対をしていく。そんな彼女の態度にヴァーシャは。いらだちを隠しきれず声を荒げてしまう。
「あんたね、いい加減にしなさいよ。さっきから却下却下ばっかりで、何が不満なの?」
「ん?。う~ん、何かイマイチピンと来ないのよね」
「ピンとって…、じゃ何がいいのよほんと」
「いやね、こう、バァ~と見栄えがよくって、誰でも分かりやすく、楽しめるモノがないかなと…」
「それって、ユラが行った事と変わんないじゃない」
「そうなのよ、そうなんだけどね…」
一見、怠惰のスイッチが入ってしまったらしく、やる気を感じさせない態度にとって変われている雰囲気ではあるが、自分なりに意見をまとめようとしていた。
スクリーンパネルに書かれている、今までの意見を観ていると、
何やらお追いついたが、その何かを言葉で言おうとしたが、それがうまく言葉に出来ない。
「何だったけかな…」
言葉に出来ないイラ立ちを必死に抑えながら、スクリーンパネルに書かれたキーワードになる言葉を丸をつけて行く。
「何やってるの?」
理解できない行動に、一同をキョトンとしながらエーファの様子を見ているとこちらに向き直した。
「ねぇユラ、これで何かわかんない?。ほら、歴史で習った」
「どれどれ?」
ユラは尋ねられて、スクリーンパネルに丸をつけた言葉を見る。
「伝承…、SF…、歴史…、英雄…」
漠然としたエーファの言葉と、少ないキーワドから自分の頭の中に埋もれた知識から一つの言葉を見つけ、ポツリと呟く。
「エーヴェルハルト…」
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