第4話1-3

「何だ、学園祭の演目の事ね」

 事の顛末を4人から聞かされたコルネリアは、ブルベリーのアイスケーキを一口、口に運びながらクスクスと笑みを浮かべ、その場にいなかったのが少々残念に思いながら、4人のやりとりを目に浮かべては、思い出し笑いをしていた。

「笑い事じゃありませんよ、コルネリア先輩」

 事が急を要することなのに、コルネリアの笑いを堪えきれない様子に、ユミハは些か不満に感じ口を尖らせて真剣になって欲しいと願う、そんな後輩の直向きな真面目さと心情を察してか、宥めるかの様に開口する。


「大丈夫よユミハ。確かに”備えあれば患いなし”だけど、”案ずるより産むがやすし”ても言うから、なるようになるから大丈夫よきっと。最も、去年のような事は、勘弁して欲しいですけど」

 笑を絶やさず、さらりと突き刺さる言葉を投げかけられた、エーファは、誤魔化す為にブルーべりのアイスケーキ頬張る。

「うぁ、このアイスケーキ美味しいな。流石コルネリアが選んだだけはあるわ。今の季節にピッタリ」

「うん、コルネリア様々だね。ありがたや~」

 エーファとユラが、感謝を込めてコルネリアを神のように敬い拝むのであった。

「どういたしまして。明日は、少し遠いけど、もっと美味しいのがあるからそこで買ってくるわね」

「「万歳!」」

ふたり揃って万歳三唱をしている所に、ヴァーシャは有頂天の様子に、冷水を浴びせた。

「現実逃避したいのは分かるけどね、いい加減部長として、重い腰を上げた方が良いんじゃない?」

 ヴァーシャも暑さを忘れ至福の時をくれたコルネリアに感謝はしているが、話が進まなくなりそうな雰囲気だった為、元に戻すように促す。

「忘却の海に流されたいのだけど…」

「このまま、自堕落に暮らしたいのよ」

「「ぬるま湯が丁度いい」」

波長を合わせるように、エーファとユラは今度はヴァーシャを慈悲を請う為に拝むが、無情にも神は慈愛の一欠片もなく一言辛辣な言葉を口にする。

「ダメ」

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