工程02 メインプロットへのサブプロットの配置

●概要

メインプロットから作成した三幕八場の各プロットポイントを

動かす事のできるサブプロットの展開を配置する。



●工程の趣旨

「見せ場」を作るための準備段階その2。

各プロットポイントは物語の流れが変わる箇所であるので、

これらには印象的なシーンを配したい。


だが、そのシーンが「御都合主義」と感じさせるものではいけない。

その為には、物語を登場人物が動かしているように見せる必要がある。

登場人物同士の問題を描いたサブプロットの展開によって、

物語の方向性が変わるように仕込んでおけば、自然と登場人物がメインプロットをも動かしていくはず。


という考え方から生まれた工程。




●コツ

1つはサブプロットの内容を三幕八場に近い形で少し作りこむこと。

もう1つはメインプロットの内容も同じように整理すること。

の2点です。


各プロットポイントの大まかな流れをもう一度確認してください。主要問題に焦点を当てたストーリーが、各プロットポイントでどのように変化するのかを整理します。


整理する際には

「プロットポイント2」→「プロットポイント1」→「ミッドポイント」

の順で考えていくとやりやすいと思います。

(以下、p1、mp、p2と略します)

まず主要問題の解決の仕方を描く「p2」を先に決めます。

そして物語の中盤には物語の方向性を変える「mp」が存在してますから、

「p1」は必然的に「p2」とは異なる方向性を持っているはずですので、

それを念頭において「p1」を作成します。

そうして「p1」と「p2」を決めたら、異なる方向性をもつ2つを繋げる為の「mp」を考える、という流れです。

「p1」から決めて「p2」を作る順番でも良いです。


例えば、これが探偵小説の場合。

「p1」には「日常生活から離れて事件に巻き込まれる」という変化が訪れます。

主要問題である「探偵は事件を解決できるのか?」に焦点を当てた場合この説明で十分ですが、実際の執筆ではもっと理由や経緯を説明すると思います。

その「理由」や「経緯」としてサブプロットを配置するわけです。


そして当然「p2」は「事件の解決」が来るはずです。


「p1」の物語の方向性というのは事件に巻き込まれるという「受動的」なもの。

そして「p2」は事件を解決するために犯人確保へ動くわけですから「能動的」な物語になっています。

となれば「mp」は「ただ事件に巻き込まれるだけだった探偵たちが、犯人を見つけ出すため積極的に動き出す」ということになります。


よく探偵が

「わかったぞ、この密室のトリックが」

「だが、犯人を特定するにはまだ足りない。あとひとつ、なにか重要な鍵があるはず……」

と言い出すシーンが「mp」です。


さて、

前置きが長くなりましたが、この工程の説明に移ります。

この工程は探偵が「わかったぞ」と言い出す理由に、

まったく別のキャラクターの行動(サブプロット)を配置するのが目的です。


例えば助手役のサブプロットに「旅館の女将との恋模様」というものがあったとします。

この、助手役の恋愛模様が描かれるサブプロットには、

「助手役は、女将が別の男と逢引きしているのを目撃して意気消沈する」という展開があるでしょう(助手役の正妻は探偵であるべきなので:偏見)。

これを「mp」に配置するのです。

つまり「女将に恋人がいると知って意気消沈する」という展開によって、探偵が事件の手がかりを掴む。

という形に落とし込むのが、この工程です。


サブプロットそのものは、コンセプトや企画プロットで作ったものを流用してください。

場合によっては「キャラ構築プロット」を踏まえて、サブプロットの三幕構成を簡単に作り直しても良いです。

ただし、その際にはどのサブプロットに1番尺を使うのかを決めておいた方が無難です。全部を満遍なく入れようとすると文章量がとんでもなく膨れ上がりますので。


また、

可能な限り「p1」「mp」「p2」が発生する理由として配置するサブプロットは多い方が良いです。

物語が複雑化して、読者に展開を予想される事を避けることができます。サブプロットを提示する順番を変えれば、プロットポイントにおける展開も何通りも考えられるますので。

この部分は伊都工平先生のブログを参考にして考えてますので、そちらも参考にして頂いても良いかも。




●メモ

ここではひとまず、シーンの内容は考えずに

「何が理由でプロットポイントが引き起こされたら面白いか」

だけを考えて配置してます。

次の工程で、それらを統合してシーンを考える際に苦労しますが、

自分に無茶振りをするくらいでないと、読者の予想は超えられないのが凡才の辛いところ……。




●参考元

リンダ・シガー「ハリウッド リライティングバイブル」

伊都工平:ブログ「Scratch Line」(※敬称略)

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