工程05 読者が応援したくなる目的と要素を決める

⚫︎概要

読者が応援したくなるような

キャラクターが持つ目的(行動指針)と、要素(性格、性質)を決める。



⚫︎工程の趣旨

読者とキャラクターとの間にコネクション(感情移入に近い意味)を確立するための工程の一つ。

この工程ではキャラクターを読者の立ち位置まで「下ろす」ことで、

読者との繋がりを確立する。


よく小説指南書で出てくる「キャラクターには弱点を持たせましょう」の部分。




⚫︎コツ

「コネクション」はキャラと読者の「繋がり」というイメージで捉える。

繋がり方には色々あるため「感情移入」はそのうちの一つでしかない事を前提とする。

キャラクターの側を読者に近づけることで、読者とキャラクターの間に「繋がり」を持たせるイメージ。


キャラクターが抱える悩みや問題は、

・読者が身近に感じられるもの

・理解できるもの

・共感できるもの

の方が繋がりを構築しやすい。

つまり「等身大の悩み」であったり「卑近な望み」であると良い。

「なんでそんなことの為に頑張るのか分からない」となってしまうと、

読者とキャラクターの心情が大きく離れてしまうため、キャラクターに愛着を持たせられない。

(※ただし次の工程で作る「憧れる要素を決める」の部分として設定するならば、読者が理解できない望みや目的、悩みを持たせることもアリ)


これは、様々な創作指南書で言うところの

「キャラクターには弱点があった方が受ける」という話。


ただし「弱点」ならば何でも良いわけではないため、

判断基準として「応援したい」「手伝いたい」と感じるものとする。

どちらかと言えば、読者がキャラクターを自分と同等ないしそれ以下に見させることで、キャラクターへ愛着を持たせるためのもの。


例えば、

「美人で品行方正な大和撫子の学園のアイドルは、

 実は料理が壊滅的に下手だった」

という設定があったとする。

この時に読者は「料理が下手」という自分でも理解できるような悩みを知ることで、「学園のアイドル」などという遠い存在を近くに感じる事ができる。

憧れの存在の心情を想像することが可能になるからだ。

くわえて、


「あー、そんな事したら失敗しちゃうよ」

「もっとこうすれば良いのに」

「そんなに悩むことないのになー」


という感想を抱かせることができれば、読者とキャラクターの間にはコネクション(繋がり)が、確立されていると言える。

読者の頭の中では、学園のアイドルと共にキッチンに立つ自分が想像されているからだ。




⚫︎メモ

とりあえずここでは決めるのは「こういう手段でキャラを読者に近づける」という方法だけを決めておく。

実際にそれを表現する方法は様々あるため、ここでは構成の工夫の余地を残すために決めない。

他の工程にも言えることだが

「冗長性を持たせて、後から改良していく」

というのは凡才が天才に勝つためには必須条件だと思う。

天才はいきなり答えを導き出すけれど、凡才にはそれは無理。

だから間違えた時に後から直す前提で、全てを組み上げること(自戒)。



⚫︎参考

不明(あらゆる創作指南書)

リンダ・シガー「ハリウッド リライティングバイブル」



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