第8話

「村だ…やった!お前ら!村に着いたぞ!」


テンションが高い浩人!


「は、はい!着きました!」


合わせてくれる村人たち。


なんて優しい世界。


「ゆ、勇者様!村についてすぐで申し訳ないのですが…村長に会っていただけませんか?」


「ふむ…村長とな?よかろう、連れていくがよい」


調子に乗りすぎて鼻がガンダーラまで伸びてる浩人。おお、愚者よ。


村人が示す道を歩き、村長のところへ向かう。


家がぽつりぽつりと点在し、それを木の柵で囲むようにして村が形成されていた。


人もわりかし多いようだ。浩人み向けられる眼差しは、どれもキラキラしていた。


「いいねぇ…さいっこうだねぇ!」


当の浩人はにやにやしすぎて今にも溶け落ちそうな顔をしていた。


「勇者様!質問などはございませんか?


「質問?質問ねぇ…あ、この村はなんという村なの?」


もっと聞くことはたくさんあるだろうに、愚かな勇者よ。


「ドゥク村です!」


「ん?もいっかい言って?」


「ドゥク村ですよ!勇者様!」


「ドゥク村…なんかいつも心臓がドキドキしてそうなネーミングだな」


安直な感想しか出てこない浩人。


「さ、着きましたよ」


いろいろ考えてるうちに村長のいる家へと着いたようだ。


「この中で村長がお待ちです!」


「お、おう」


村のネーミングよろしく、少し緊張しながら中に入る。


「あのぅ…すみませーん」


田舎の商店に入るような動作で家へと入る。ここで発動、チキンハート。さっきまでの勇者(笑)の風格はどこへいった。


「これはこれは勇者様!よくぞ参りました!ささ、こちらへお座りください!」


村長と思われる男が、浩人に座るように進める。


「お疲れのことでしょう。おい!この方に飯を用意して差し上げろ!」


勇者特権であろう、気の使われ方をする。


「この度は、わが村を助けていただき誠に感謝しております。なんとお礼を申したらいいのか…」


村長は浩人に向かって深く頭を下げる。


「いいんですよ。そんな大したことしてないし。それより、あんたさっき

「飯の準備ができたそうです!どうぞごゆっくりくつろいでください!」


村長が言葉を差し込むように促す。


「いや、聞けって」


浩人はゆずらなかった。


「あんた、さっき走って消えたよな?」


「なんのことでしょう?私は今日はずっとこの家におりましたが」


「そうか…ならいいんですけど」


「水がありませぬな!今用意しますのでお待ちください!」


村長がスッ、と立ち上がる


ガタガタガタガタ


「完全に膝笑ってるじゃねーか!隠せてないからな!」


一応村長も疲れてるみたいだった。

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