二十三箇所目 本屋 B&B 下北沢


 毎日イベントをやっている本屋さん、下北沢のB&B。


 Book&Beer。


 ビールが飲める本屋さんです。


 あれ、ちょっと違うかな。


 本を読みながらビールが飲める本屋さん、です。


 コーヒーも飲めます。

 コーヒー豆も売ってます。


 前の場所の時は、コーヒーの本を探しに行って、コーヒー豆も買いました。

 本を扱う場所で販売されているコーヒー豆に興味を持っていた頃のことです。


 で、B&B。


 店舗が引越してからまだ行ってなかったこともあり、本を買いに行ってみることにしました。


 生まれ変わった下北沢駅の地上へ出て、改札を出て、地図を見て、繁華街ではない方へ歩いていきます。


 前の場所より、少しだけ歩きます、ほんの少し。


 交差点の手前の雑居ビルに、B&Bの文字発見。


 ここの地下のようです。


 人々が出入りしてます。


 前の場所でも、階段を上り下りして店に出入りする人がいつもいるなと印象的でした。


 このご時世のチェーン店でない書店に人が出入りしている。


 それは、つまり、期待できるということです。


 何を?


 ラインナップをです。


 階段を下りて行くと、なにやらにぎやかなバンド演奏がどこかのドアから漏れてきます。


 同じ建物にライブハウスでもあるのでしょうか。


 同じ階にあるのかな?


 階段を下りてすぐが入口です。


 入口の外に、フリーペーパーやチラシがごしゃっと置いてあるのは、以前の店と同じです。

 そこだけさっと見て、去っていく人もいます。


 私はちら見してから中へ吸い込まれました。


 入ってすぐのコーナーには、吉本ばななさんなど下北沢好きな作家さんのものが置いてありました。


 世が世なら、なつさんのお知り合いのD坂の文豪の娘さんとも会えたかもしれません。


 ちなみに、D坂の文豪の娘さんは、下北沢界隈に住んでいた時に、和菓子を買いにこの近辺へ来ていました。


 彼女が買っていたのは、桃山、すあまなど、なつかしい町の和菓子屋さんの定番商品です。

 文豪父さんに宝石のような有平糖をもらって喜んでいた娘さんは、洋ものも和ものも甘いのがお好きだったのですね。


さて、今回は、新刊書店の本屋さんに来たので、棚をじっくり見ていきましょう。


その本屋が、森なのか林なのか家なのか広場なのか。


その本棚が、語りかけてくるのか、ただ佇んでいるのか、拒絶しているのか、喧騒に溢れているのか。


整然としていればいいとは言いきれないのが、本屋さんです。


どうやら、ここは、風通しのよい森の小径のようです。


こちらに民俗学の木。


こちらに少女の本の木。


森の下草は ローカルリトルプレスだったり、ZINEだったり。


本棚の木がまばらに立ち並び、風通しがよいので、人が奥へ入るのを拒まず、森の奥には広場があって、木漏れ日の下で、のどの渇きを潤せる。


街中散歩の途中に立ち寄ったと思しき年配者のグループの方々も、楽しそうに本を介してお話していました。


良い意味での適度なひっかかり具合のラインナップを眺めながら、地元の新刊書店では扱っていないタイプの本を購入しました。


 入口付近にあった、岩手県にちなんだ本、雑貨、雑誌etc。

 特集コーナーのようです。


 そこから手にとったのは、盛岡のリトルプレス『てくり』です。

 『てくり』はリトルプレスの走りですよね。

 

 ――伝えたい、残したい、盛岡の「ふだん」を綴る本――


 こう記された表紙の写真は、明治時代のハイカラ建築赤レンガの岩手銀行中ノ橋支店。

 第14号の特集は、「盛岡カルチェラタン」と銘打たれて、中津川の右岸と左岸が紹介されています。


 もりおか啄木・賢治青春館といった文学館もあるのですね。

 こちらも明治建築ですが、大正・昭和初期の味付けをし、ドイツロマネスク様式も取り入れているという、優美な姿の銀行の建物が使われています。


 手紡ぎ手織りの毛織物ホームスパンがおしゃれにアレンジされて載っている冊子にしようか、民藝の精神を大切にしている光原社を紹介している本にしようか散々迷いました。


 今回求めた決め手は、宮澤賢治が好きだったぎんどろの木陰の散歩道の写真が、とても雰囲気があって気にいったので。


 あのぎんどろのトンネルを抜けたら、きっと、あの街の“誰か”に出会える、そう思わせてくれる一枚だったのです。


 もう一冊は、書店との直接取引を中心にしている「原点回帰の出版社」ミシマ社のコーヒーと一冊シリーズの『イナンナの冥界下り』です。


 『イナンナの冥界下り』は、“イナンナ”というイシュタルより前の女神さまがいらしたのだと知って、これは読まねば、と思ったのです。

 最古の女神の一人であるとは、なんと魅惑的な存在なのでしょう!


 買い過ぎる前に、そろそろおいとまいたします。


 本日は、新居訪問ということで。

 

 では、本とビールで春の休日を楽しみます。



<本屋 B&B> 


最寄駅 小田急線・井の頭線「下北沢」駅

関連ホームページで、詳細をご覧いただけます。



<今日買った本>


『てくり 第十四号 盛岡カルチェラタン』

まちの編集室 編集・発行 

 

『イナンナの冥界下り』

 安田登著

 ミシマ社京都オフィス発行

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