case3 相棒❕
村沢は、同僚のいる丸亀北警察署に着来ました。
受付に行き、
「すいません。村沢と申しますが、北山刑事は、いらっしゃいますか?」
そう言うと、受付人が、
「北山刑事ですか?少々お待ち下さい。」
と言って内線電話を取りました。
「お疲れ様です。受付に村沢と言う男性の方が北山刑事に用事が有ると来られているのですが、いらっしゃいますか?」
電話の向こうで微かに北山を呼ぶ声が聞こえます。
「北山ー。北山ー。」
「はい、課長何でしょうか?」
「受付に、村沢と言う男性がお前を訪ねて来ているらしい。」
「はい。北山です。今下に降りると伝えて下さい。」
そう言って北山刑事は、下に降りて行きました。
「今、北山刑事は、降りてまいりますので、少しお待ち下さい。」
「はい。分かりました。」
村沢は、受付横の椅子に腰かけて待つことにしました。
暫くすると、廊下の向こうから懐かしい顔が近づいて来ます。
「しげ、久しぶりだな。どうした何か用か?」
北山刑事は、北山恭三(きたやましょうぞう)と言って、村沢が刑事をやっていた頃の相棒でした。
所長が、刑事を辞めるといった時は、かなり説得したようですが、聞き耳をもたなかったそうです。
「忙しいとこすまないな。」
「山本さよりと言う女性が兄の捜索願いで訪ねて来なかったか?」
「来たけど。どうしてそれを知っているんだ。」
「内の事務所に彼女来てな。兄の捜索を依頼して来て、その依頼を受けることにしたんだ。」
「いくら昔の相棒だからといってそう簡単に個人情報を話す分けには行かないなぁ。」
「そこを何とか頼むよ。」
北山刑事は、悩んでいます。
「う~ん。わかったよ。」
「ありがとう。それと彼女人形を預けたらしいんだけど、それも見せてくれないか?」
「う➰ん。それは出来ないなぁ。」
「頼むよ。」
村沢は、目をうるうるさせて頼んでいます。
「お前は、女子か?(笑)わかったよ。これは高くつくからな。」
「サンキュー。」
「ここじゃ、何だから10分後に近くに有るカフェ・マルシェに行くよ。そこで、話そう。」
そう言って、二人は、別れました。
村沢は、警察署を出て、東に少し行った所にカフェ・マルシェはありました。
カランコロン。
「いらっしゃいませ。」
そう言って定員さんが空いている席を案内してくれました。
定員を呼んで、ホットコーヒーを頼んだ所で、北山刑事が店に入って来ました。
村沢の前に座ると定員を呼んで、同じものを頼みました。
「俺も、仕事中だから手短に頼むよ。それから、これから俺に用が有るときは、この携帯番号に電話をくれ。あまり、うちに来られると怪しまれるからな。」
そう言って、北山刑事は、村沢に小さなメモを渡しました。
「わかったよ。そうさせて貰うよ。」
「所で、例の人形は、持って来てくれたか?」
「あー、これだよ。」
そう言って、人形を見せてくれました。
何の変鉄もない手作りのマスコットでした。
「何の動物だ?猿か?」
北山刑事が、言いました。
「いや、違うな。何か見たこと有るような無いような?」
少し考えて、村沢は、叫びました。
「あっ、これ、ナマケモノだよ。それによく見るとこの人形、口が無いなぁ?」
そう言って、何気なくそのマスコットをひっくり返しました。
すると、マスコットの背中に小さな切目を手拭いした後がありました。
「村沢、何か持って無いか?」
村沢は、そう言われてジャケットのポケットを探すと万能ナイフが入っていました。
「あー、これにピックがついていたな。」
そう言って、降り曲がったピックを伸ばしてその糸をのけました。
すると、中なら小さな紙切れが入っていました。
広げて見ると何か書いてありました。
「読むぞ。」
「ううん。」
「えーっと。何々。"おいらは、おいらは、ナマケモノ。何もしないで、見てるだけ。だけど、困った時にには、力を貸すよ。君だけに。"何だこりゃ?」
二人は、顔を見合せました。
「大変な物を見つけたな?どうしたものか?」
「何で、山本さんの兄さんがこんな物を持っていたんだ。気味悪いなぁ。」
「知らないよ。とりあえず、今から俺は、山本さんに電話して、事務所に来てもらってもう少し話をくわしく聞いてみるよ。北山は、署に帰って周辺でよく似た事件が無いか、調べてくれよ。」
「よし、わかった。何か進展が有れば、俺の携帯に連絡してくれ。」
「じゃ俺のスマホの番号も渡すから、こっちも何かわかったら連絡くれよ。」
そう言って、ポケットにあったレシートに自分のスマホの番号を書き、北山に渡しました。
二人は、店を出て行きました。
まず、山本さんに電話だな。
ここじゃ、誰かに話を聞かれたら行けないので、事務所に帰るか。
そう思って、急いで事務所に帰りました。
事務所に帰ると、辺りは夕焼けに包まれていました。
ドアを開けるとカギがかかっていました。
かず、もう帰ったんだなぁ?
そうして、手持ちのカギでドアをあけました。
電気のスイッチを入れて、電気を付けると、窓のブランドを全部締めました。
自分のデスクに座ると、小さなメモに、
"所長ー。先に帰ります。母さんが心配するから早めに帰ってくださいね。"と、書いてありました。
所長と僕は、義理の兄弟です。
いわゆる、僕は、母さんの連れ子でした。
つまり、先代は、初めの奧さんを若くして病気で亡くして、苦労しているところに僕の母さんと出会ったそうです。
僕と所長は、15歳が離れています。
「はい。はい。」
そう言って、村沢は、事務所の電話の受話器を取りました。
僕がメモした、調査書の山本を探して電話をかけました。
ツルルルー。
ツルルルルー。
2回発信音がなって、 彼女は、電話に出ました。
「はい。山本です。」
「こちら、村沢探偵事務所の村沢と申します。
山本さんでしょうか?」
「はい。そうですが、何か分かったんですか?」
「いや、まだ、お兄さんの消息は掴めていないのですが、あのマスコットから手がかりを見つけまして、もう少しお兄さんの日頃の生活を聞かせて頂きたいのですが、今日は、時間も時間ですので、明日朝9時に事務所に来て貰えますか?」
「はい。分かりました。それと、残りの五万円は明日必ず持って行きますので。」
「お願いします。では、お待ちします。」
そう言って、受話器を置きました。
村沢は、溜め息をついて、ポケットからタバコを一本取り出し火をつけました。
ブラインド越しに外を見ると雨が降っていました。
今日は、もう、引き上げるか。
そう思って、事務所の電気を消し、ドアのカギを締めました。
雨の日は、亡くなった親友を思い出してしまいます。
少し、酒を飲んで帰るか。
そう思って、村沢は、隣の通りの繁華街に消えて行きました。
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