第3話 ラッピング
――午後七時。
「じゃあ、僕、ラッピングしてくるね。ハイジ部のひなちゃんの所に行って来ます。アイスボックスクッキーは、持ったから。一時間半位で帰って来るね」
「ああ、それはいいね」
寂しそうなウルフが、手を小さく振った。
シャラン。
シャラン。
玄関ベルを鳴らして出掛けて行った。
美舞は、足が速いので、駅二つの
ピンポーン。
「ごめんください」
かしこまった美舞。
「はーい」
「あ、やっぱり、美舞ね。こんばんは。どうしたの?」
日菜子が玄関迄来てくれた。
お手製の黒いにゃんきち柄のセーターに、にゃんきちニットスカートを着ていた。
靴下にもワンポイントのにゃんきちがあった。
にゃんきちは、日菜子のブランドで、やんちゃな猫がいとおしい。
「バレンタインのラッピングを手伝って欲しいの! この通りです」
顔の前で手を合わせた。
「うん、材料とかあるから。先ず、上がって。私の部屋に行こう」
階段から案内してくれた。
「ありがとうね」
――一時間後。
「ふうん、割りと意外な数だったわ、美舞」
「そうかもね。友チョコも込みだしね。忙しくして、悪かったよ」
「それは、構わないよ。気にしないで」
ぱたぱた。
ぱたぱた。
二人して、階下へ行く。
「お邪魔しました。色々とありがとう」
ぺこりと頭を下げた。
「いつでもおいでなさいな。美舞君。ははは。今日、うちに私しか居ないし」
ちょこちょこと日菜子は手を振った。
「またね」
またねに、弱い美舞。
「じゃ、またね」
「明日、学校でね」
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